経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 100/308

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基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 93 20世紀資本主義世界経済/西洋経済史20世紀資本主義世界経済の特徴を述べなさい。【解説】□解説ビデオクリップ19世紀資本主義世界経済はイギリスの覇権(hegemony)によって発展し....

基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 93 20世紀資本主義世界経済/西洋経済史20世紀資本主義世界経済の特徴を述べなさい。【解説】□解説ビデオクリップ19世紀資本主義世界経済はイギリスの覇権(hegemony)によって発展し、19世紀中には地球上の90%近くを植民地として支配し、イギリス単独で世界の製造業の50%を上回る生産力を誇っていた。イギリスを中心とする西ヨーロッパ文明の支配体制は、1890年代を境に明らかに動揺を見せ始めることになった。まず、1890年代にはアメリカが鉱工業生産においてイギリスを凌駕するようになり、1900年にはドイツがイギリスを追い越しイギリス覇権に挑戦する姿勢を示し始めた。こうしてイギリス覇権に対するあからさまな挑戦が始まり、20世紀に入ってドイツによって2度にわたる世界大戦が勃発することになった。一般に戦間期の30年代には、イギリスからアメリカに覇権が移行し、構造転換を迫られることになった。第一次世界大戦末期にロシア革命が勃発し、これまでの自由主義的資本主義に対してより平等を求めて社会主義計画経済による挑戦が始まった。これまでの資本によるむき出しの支配から、資本と労働の一定の妥協による資本主義のより広い基盤による成長が求められるに至った。アメリカにおいてフォードによって生産性と高賃金の組合せによる資本主義のより高度な発展が実現されることになった。フォードは流れ作業と互換性部品による高生産性の実現と労働者への数倍の賃金の支給よって生産性の上昇と市場の拡大を一挙に実現し、資本主義を新たに大衆消費社会の段階に推し進めることになった。第二次大戦後、日本をはじめ新たにニーズさらには近年では中国やロシアも急速な経済成長を実現しており、資本主義世界経済は21世紀に入って新たな高度技術情報社会に移行しつつあるとみられている。その際の生産体制はフォードシステムのような一般的なものはいまだ確立されておらず、一時日本のトヨタシステムやスウェーデンのヴォルヴォシステムなどの生産システムが候補に上ったが未だ確定していない。他方で、20世紀以来第三世界の貧困が置き去りにされてきたが、新たな資本主義世界経済体制によってこの人類の最終的課題が解決できるかどうかもいまだ定かではない。参考文献:原輝史工藤章編『現代ヨーロッパ経済史』有斐閣, 1996年【関連問題】年月日1.「ヘゲモニー」とはどのような意味か。