経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 102/308
このページは 経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 の電子ブックに掲載されている102ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
基礎知識300# 95産業革命の要因歴史から学ぶ経済学/西洋経済史イギリスにおいて最初に産業革命が生じた原因について述べなさい。【解説】□解説ビデオクリップイギリスにおいて世界最初の産業革命が生じた原因として....
基礎知識300# 95産業革命の要因歴史から学ぶ経済学/西洋経済史イギリスにおいて最初に産業革命が生じた原因について述べなさい。【解説】□解説ビデオクリップイギリスにおいて世界最初の産業革命が生じた原因としては、以下の点が考えられる。さんぽまず、17世紀に入って三圃農法を中核とする中世的農法の革新が進められ、休閑を廃止し新作物の導入による個人主義的農業が可能となり急速に中世的村落は解体して行った。この過程を農業革命というが、これによって資本主義的農業が発展し、従来より生産力が飛躍的に発展し、産業革命に先行する人口増加に必要な食料の供給が可能となった。さらに、農村における資本家的農業の進展とともに中下層農民の没落が生じ、多数の貧窮者が都市に排出され、工場労働者の供給源となった。18世紀に入って、イギリスは造船業や機械工業の発展によって当時世界最大の軍事力を生み出し、制海権を握り多くの植民地を獲得して行った。とりわけインドから木綿を大量に輸入するようになり、ヨーロッパにおいて毛織物から綿織物への転換が生じ衣料革命と呼ばれるブームを巻き起こした。しかしながら、木綿はイギリスに大量の赤字をもたらすのでその輸入代替が強力に推し進められ、新産業として農村工業として発展していった。従来からの毛織物生産の技術と経験的豊かな職人的発明家によって順次綿織物工業における革新が進められ、産業革命が開始されることになった。毛織物は脂分が多く機械化に不向きであったが、綿織物は急速に機械化が進展し、もともとの生産地であったインドの在来産業を破壊し、世界商品として大量に輸出されていった。さらに機械を作るための製鉄・機械工業の革新に突き進んでいったが、これらの発明も職人的技術者による発明によった。イギリスは重工業の発展に不可欠の石炭と鉄鉱石の両方を埋蔵しており、その点で他の西ヨーロッパ諸国に比べて恵まれていた。さらに、当時世界覇権を握ったことによって、インドや新大陸アメリカから主要な原材料を安価に輸入することが可能となり、この点も産業革命の進展に有利であった。18世紀に入って、イギリスはオランダ・アムステルダムによる国際決済金融システムの覇権を奪いつつあった。18世紀の後半にはロンドン・イングランド銀行の銀行券による国際決済システムを樹立し、イングランド銀行と他の西ヨーロッパ諸国さらには、新大陸やアジアにまたがる銀行間決済システムを確立するとともに、ロンドン都市銀行から地方銀行に至る国民的決済金融システムを整えていった。このようなイングランド銀行を頂点とする国際的国内的金融システムの確立も産業革命が達成される前提条件となった。参考文献:石坂昭雄他『西洋経済史』有斐閣双書,1993年? #090産業革命の歴史的意義