経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 108/308

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基礎知識300# 101アヘン戦争歴史から学ぶ経済学/東洋経済史アヘン戦争の歴史的意義について説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップここでいうアヘン戦争とは、1840年の第一次アヘン戦争と1856年の第二次アヘン....

基礎知識300# 101アヘン戦争歴史から学ぶ経済学/東洋経済史アヘン戦争の歴史的意義について説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップここでいうアヘン戦争とは、1840年の第一次アヘン戦争と1856年の第二次アヘン戦争(アロー戦争)。中国(清朝)にアヘン(中国では禁輸品)が持ち込まれた理由については、別問にて解説済みであるが、イギリスの貿易収支改善が目的であり、中国側が望んだものではなかった。いわゆる「朝貢体制」によるアジア世界の中心であった中国では、朝貢(皇帝の臣下となる)なくして交易を行うことが認められておらず、鎖国状態が続いていた。イギリスは「自由貿易」による権益拡大を目指しており、こうした中国の体制は障害でしかなかったのである。従って、当時のアヘンは密貿易であった。中国は、アヘンの流入によって貿易収支が逆転しただけでなく、中毒患者の増加などの悪影響が国内に出ていた。こうした状況から、林則除(欽差大臣)はアヘンの取り締まりを徹底し、アヘンを没収・焼却を断行した。これに対してイギリスが反発して第一次アヘン戦争が勃発する。しかし、この戦争に敗れた中国は、香港の割譲、主要港の開港、治外法権、関税自主権を認めないことなどの不平等条約(南京条約)を締結させられ、アジアにおける伝統的秩序(朝貢体制)の崩壊を招くことになる。また、日本もアヘン戦争で中国が敗北したことを知り、西洋列強の強さ図:『世界史図録ヒストリカ』山川出版社より引用を認識したことが幕末の開国、明治維新へと繋がっていくなど、大きな影響を受けたのである。そして、第二次アヘン戦争によって中国は再び敗北し、天津条約・北京条約を締結させられた。イギリス製品(綿製品)が中国で期待通りに売れなかったことが再戦の理由にある。ただし、市場のニーズ(安価な厚手布)とマッチしない商品(高価な薄手布)の売り込みは整合的でなく、中国側の市場閉鎖性を批判したイギリスの見解は言いがかりに近かった。その後、中国国内における外国人の商業活動の自由を認めさせられ、外国人による本格的な経済活動が展開されることになった。また、それは中国における経済的権益を列強が奪い合う端緒にもなったのであり、中国の独立性が著しく損なわれていくことにも繋がった。そして、日本が「脱亜入欧」を掲げ近代国家へと変貌することにより、近代東アジア地域の構図は大きく変わることになるのである。【関連問題】年月日1.アロー戦争後に、締結された条約は何か。