経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 109/308

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基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 102労働力の国際的移動/東洋経済史近代において展開された労働力の国際的移動について説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップ国際的な労働力移動の歴史を見ると、中世(大航海時....

基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 102労働力の国際的移動/東洋経済史近代において展開された労働力の国際的移動について説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップ国際的な労働力移動の歴史を見ると、中世(大航海時代)以降、大規模なプランテーションの運営に不可欠な労働力として黒人(奴隷)が投入されてきた。すなわち、奴隷貿易によってアフリカから新大陸に送られ、砂糖や棉花などの生産に従事させられていたのである(大西洋三角貿易)。しかし、19世紀に入ると、様々な問題から奴隷貿易が廃止され、世界的な労働力不足が顕在化することになった。奴隷貿易が廃止された19世紀は、西洋において工業化社会が出現・拡大しつつあった。それ故、工業原料としての第一次産品や天然資源などに対する需要が激増しており、その需要に対応するための労働力が求められていたのである。また、その他にも鉄道や運河に代表される近代的なインフラ建設が世界各地で進められる中で大量の労働力が必要であった。奴隷の供給がストップした当時の世界の労働市場において、新たな供給源となったのがアジア、とりわけ中国とインドであった。中国やインドからの国際的な労働力移動は、いわゆる出稼ぎ労働者が多くを占めており、彼らはクーリー(苦力)と呼ばれた。主にアメリカや東南アジア図:『世界史図録ヒストリカ』山川出版社より引用において鉱山やプランテーション、大規模工事などの労働力としてクーリーが大量に動員され、膨張する労働力需要を賄っていったのである。近代における資本主義の発展は、こうした名も無い労働者によって支えられていた側面を見落としてはならない。優れた技術や生産力があったとしても、原材料や労働力の供給が無ければ意味をなさない。近代におけるアジア地域は、①ヨーロッパ工業国から工業原料の供給地、②工業製品の販売市場としての機能だけでなく、③労働力の供給をも担ったのである。従って、その後の近代世界の構築においてアジアが果たした役割は非常に大きなものであったということが理解できるのである。【関連問題】年月日1.中国やインドからの出稼ぎ労働者を何と呼んだか。