経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 148/308

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基礎知識300国際経済# 141比較優位の原理/国際経済学入門絶対優位と比較優位という概念はどのような点で異なるのか。【解説】□解説ビデオクリップはじめに「単位必要労働投入係数」によって、1単位の財・サービスを....

基礎知識300国際経済# 141比較優位の原理/国際経済学入門絶対優位と比較優位という概念はどのような点で異なるのか。【解説】□解説ビデオクリップはじめに「単位必要労働投入係数」によって、1単位の財・サービスを生産するために必要とされる労働投入量を表す。例えばA社が1単位のワクチンを生産するために必要とされる労働投入量が100時間だとすると、右表のようになる。A社は100時間あればワクチンを1単位生産できるのに対して、表単位必要労働投入係数B社は6倍の600時間もかかる。この時A社はワクチンの生産につワクチンテレビいて絶対優位を持ち、B社はワクチンの生産について絶対劣位をA社100時間200時間持つという。A社の生産性を時間当たりの生産量として測ると、A社B社600時間300時間のワクチンの生産性はB社のワクチンの生産性の6倍も高くなっている。したがって、絶対優位とは「生産性がどれだけ優れているか」を基準にして比較する考え方である。しかし、B社はA社と競ったら歯が立たないのではとか、A社がどちらの生産も任せれば良いのではないか、と早合点してはいけない。希少な資源(労働時間)をどちらの財に重点的に振り分けたら良いかを判断するためには、絶対優位ではなく機会費用にもとづいた比較優位という新しい概念が必要になる。A社がワクチンを1単位作るために必要な100時間をテレビに振り分けると、テレビは100?200=0.5単位生産できる。この0.5単位がA社にとってワクチンを生産することの機会費用である。同様に、B社がワクチンを生産することの機会費用は600?300=2単位である。したがって、ワクチンを生産することの機会費用はA社のほうが小さい。同様に、テレビ生産の機会費用についてはB社のほうが小さい。このとき、A社はワクチンの生産についてB社に比べて比較優位を持ち、B社はテレビの生産についてA社に比べて比較優位を持つと言う。19世紀の経済学者D.リカード(#116)はA.スミス(#110)の「分業の利益」を応用して、比較優位に基づく適切な分業は、少ない資源で必ず最大限の生産をもたらし、効率的な資源の利用を可能にすることを示した。【関連問題】年月日上記のA社とB社には親会社O社がいる。いまO社が傘下のA社とB社に対して、10日間でテレビとワクチンをできるだけ多く納品するように命じたとする。どのような命令の仕方が最も効率が良いか。(1) A社とB社にテレビとワクチンの双方を均等に作るように発注する。(2) B社には発注せず、生産性に優れるA社に全ての生産を任せる。(3) A社にはワクチン、B社にはテレビの生産により多くの時間を割かせる。(4) A社にはテレビ、B社にはワクチンの生産により多くの時間を割かせる。