経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 149/308

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基礎知識300国際経済# 142比較優位の原理:比較生産費と貿易パターン/国際経済学入門比較優位と「自由貿易の利益」はどのような関係にあるか。【解説】□解説ビデオクリップ#141の「比較優位」の概念からわかったこと....

基礎知識300国際経済# 142比較優位の原理:比較生産費と貿易パターン/国際経済学入門比較優位と「自由貿易の利益」はどのような関係にあるか。【解説】□解説ビデオクリップ#141の「比較優位」の概念からわかったことを大切なことを2点あげると、(1)生産の機会費用が小さい財に比較優位を持つ(2)たとえ生産性が劣っていたとしても比較優位を持つ財があるこれらのポイントから、次のような考え方が生まれる。「主体ごとに生産に関して得意・不得意がある。各主体は不得意なものにまでわざわざ資源を投入して生産することはない。限りある資源を得意なものにできるだけ集中させて生産し、不得意なものは得意な主体から購入すれば良い。」この「得意・不得意」を判断する基準が機会費用の比較、または比較優位を持つかどうかである。比較優位にもとづく適切な分業は効率的な資源配分と最大の生産をもたらす。しかし、これだけでは貿易の利益を証明したことにはならない。貿易の利益を示すには、生産物を市場で決まる交易条件で自由に交換できることが必要になる。より厳密な「リカードの比較優位」と呼ばれる考え方は、「各国は機会費用の小さな財に比較優位を持ち、資源を特化させて輸出する一方で、機会費用の大きな財には比較劣位を持ち、生産規模を縮小させて輸入したほうが豊かになる。」というものである。すなわち、#141で用いた数値例をA国、B国に置き換えて説明すると、A国はワクチンを集中して生産することで間接的にテレビをB国から安価に購入することができ、B国もテレビを集中して生産することで間接的にワクチンをA国から安価に購入できる。ここで大事なのは生産したものを自由に交換できるという仕組みである。この比較優位から派生した概念には、「選択と集中」、「フラグメンテーション」などがある。【関連問題】年月日第16代米国大統領であるエイブラハム・リンカーンは大陸横断鉄道の敷設に際して、側近から英国の安くて質の良いレールを購入したらどうかと勧められたとき、「もしレールを英国から買えば、レールは手に入るがお金は彼らのものになる。しかし、レールをわが国で作れば、レールもお金も我々のものだ。」と答えたという。「比較優位」、「自由貿易の利益」をキーワードとしてリンカーンの考え方を批判せよ。参考図書: Charles Wheelan (2010) Naked Economics, ch.12, pp.273-274.旧版にもとづく邦訳は『裸の経済学』(2003,青木榮一訳,日本経済新聞社)の275ページを参照。