経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 153/308
このページは 経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 の電子ブックに掲載されている153ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
基礎知識300国際経済# 146自由貿易の利益/国際経済学入門貿易自由化により損失を被ることが予想される特定の産業を、関税で保護することの機会費用は何か。【解説】□解説ビデオクリップかつてノーベル経済学賞を受....
基礎知識300国際経済# 146自由貿易の利益/国際経済学入門貿易自由化により損失を被ることが予想される特定の産業を、関税で保護することの機会費用は何か。【解説】□解説ビデオクリップかつてノーベル経済学賞を受賞したポール・サムエルソン教授は、ある数学者から「社会科学に、正しいが自明でない命題はあるのか」と意地悪な質問をされたという。数年後に思いついた答えが「比較優位の理論」だった。つまり、理論的に正しいのだが、一般的には理解されづらいものとして、比較優位を挙げている。なぜ理解されづらいのかは、自由貿易によって損失を被る主体が存在するからである。日本も自由貿易の効率性を総論では認めつつも、多くの特定産業において自由貿易とは程遠いような例外的な保護政策を導入する傾向にある。日本はすでにいくつかの国・地域と経済連携協定(EPA)を締結しているが、自由化例外品目として約940もの品目で関税を撤廃しておらず、そのうち約850品目はコメ・麦・肉類などの農畜産物である。貿易自由化により損失を被る産業は、比較優位を持たない(別の言い方をすると、比較劣位にある)産業といえる。衰退産業と呼ばれることもある。自由化に逆行して特定の産業のみを保護することの機会費用を考えることは、すなわち、自由貿易の時に得られていた(得られるであろう)メリットを考えることと同じである。?消費のメリットを失う消費者は自由貿易下では安価な財をたくさんの種類の中から自由に選べたはずである。?効率的な資源配分のメリットを失うもしも他に比較優位を持ちうる産業が存在していたならば、限りある資源を別の特定の産業(比較優位を持たない)に投下してしまうと、本来重点的に投下すべき比較優位産業に特化できなくなる。?技術革新のメリットを失う保護された産業分野では、画期的な技術革新(イノベーション)が生まれる可能性が極めて低くなる。【関連問題】年月日輸入関税は外国から輸入される財のみに課税されるにもかかわらず、国内で生産される財の販売価格も一律に値上がりさせる。厳密には?国内販売価格? ? ?国際価格? ??関税額?となる。以下の参考図書を読みながらこの理由を考えよ。参考図書(図書館に所蔵あり)Russel Roberts (2010) Choice: A fable of free trade and protectionism, ch.4邦訳は『寓話で学ぶ経済学―自由貿易はなぜ必要か』(1999年、佐々木潤訳、日本経済新聞社)