経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 167/308

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基礎知識300# 160経常収支国際経済/国際経済学入門経常収支が海外資産の純増といわれるのはなぜか。【解説】□解説ビデオクリップ国際収支統計の計上方法から、(経常収支)+(資本収支)+(外貨準備高増減)+(誤差脱漏)=0....

基礎知識300# 160経常収支国際経済/国際経済学入門経常収支が海外資産の純増といわれるのはなぜか。【解説】□解説ビデオクリップ国際収支統計の計上方法から、(経常収支)+(資本収支)+(外貨準備高増減)+(誤差脱漏)=0ということがわかっている。誤差脱漏を無視してこの式を変形すると、次のような式が導かれる。(経常収支)=-(資本収支+外貨準備高増減)2011年の日本の国際収支統計をもとに数字を当てはめてみると、96,289≒-(59,975 137,897)となる。左辺の経常収支黒字は日本が1年間の外貨の受け取りと支払いの差額と捉えることができるのに対し、右辺はその額が対外資産としてどのように流れて行ったかを表している。ここで、再び資本収支と外貨準備の増加の意味するところを確認してみよう。A)資本収支が59,975億円の黒字日本の居住者による海外の資産(株式、債券、その他金融派生商品(通貨スワップやオプションなど))の購入よりも、外国の非居住者による日本の資産取得のほうが大幅に上回っていたことをあらわす。別の言い方をすれば、日本全体で見ると、海外に対しての純資産(債権)が減少したことを意味する。B)外貨準備高増減が137,897億円(外貨準備の増加)外貨準備高増減は中央銀行(日本銀行)の保有する外貨準備の増減を表す。統計上のマイナス値は保有する外貨準備高の増加を意味する。外貨準備は通常、米国の国債など安全資産の形で保有される。中央銀行による外貨購入(外貨準備の増加)は、資産の購入として複式簿記上はマイナスで表記される。以上から、2011年の日本の国際収支を例に再解釈してみると、経常収支の黒字額は、日本が海外の資産に対して行った投資が減少しつつも(資本収支黒字)、日本銀行が保有する外貨準備の増加(赤字)として流れていったことを意味する。従って、経常収支の黒字は、資本収支や外貨準備の増加を通じて、海外資産の純増をもたらす。【関連問題】年月日日本とは対照的な米国の経常収支額を調べて、国際的な金の流れについて比較しなさい。参考サイト:ジェトロの米国基礎的経済指標(URL:http://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/stat_01/)