経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 214/308

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基礎知識300法と社会# 207幸福追求権/憲法憲法13条を根拠に、新しい権利は認められるか。また、認められるとすればどのような権利が認められるか。【解説】□解説ビデオクリップ憲法13条では、「すべて国民は、個人....

基礎知識300法と社会# 207幸福追求権/憲法憲法13条を根拠に、新しい権利は認められるか。また、認められるとすればどのような権利が認められるか。【解説】□解説ビデオクリップ憲法13条では、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と、幸福追求権について定めている。この「幸福追求権」に関しては、憲法13条の「幸福追求権」は新しい権利を導き出す根拠となり、かつそのような権利は裁判上の救済を受けることができる具体的権利であるという見解が学説の多数を占める。日本国憲法には、過去に侵害されることが多かった重要な権利が列記されているが、すべての権利が網羅的に規定されているわけではない。また、現代の科学技術の発展に伴い、憲法制定当初想定されていなかった権利侵害も生じている。新たな権利を生み出す根拠が憲法13条の幸福追求権に求められる。最高裁判所も「個人の私生活上の自由のひとつとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌、姿態を撮影されない自由を有する……。これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容貌などを撮影することは、憲法13条の趣旨に反して許されない」(最大判昭44年12月24日刑集23巻12号1625頁)と判示し、憲法13条が具体的権利の根拠となることを認めている。ただ、どのような権利を憲法13条から導くことができるのかについては、主の2つの見解が存在する。まず「人格的利益説」である。この見解によれば、憲法13条から抽出される権利は、人格的自律の存在として自己を主張し、そのような存在でありつづける上で必要不可欠な権利・自由に限られるとしている。こうした主張の根拠としては、「憲法が保障する権利」の範囲を無限定に認めると、権利の名にふさわしくない権利までも憲法上の権利とされてしまうこと、権利保障の範囲を広げると本当に必要な権利の保障が相対的に弱くなるなどの主張がなされている。一方、「一般的行為自由説」は、国家権力を制限して個人の権利・自由を守ることを目的とする近代立憲主義の理念からすれば、個人の自由は広く保障されなければならないので、憲法の保障は個人の自由に広く及ぶとする。この見解は、「人格的利益説」的な考え方では実質的に個人の権利保障の範囲を狭くしてしまうと批判する。この2つの見解の相違は、例えば「喫煙の自由」や「オートバイに乗る自由」といったように、個人の人格にかかわらない行為が憲法上保障されるかどうかという問題で異なる結論を導く可能性がある。【関連問題】年月日以下の権利は憲法上の権利として認められるか。1.喫煙の権利2.飲酒の権利3.金髪にする権利