経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 215/308

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基礎知識300# 208社会権法と社会/憲法社会権が誕生するに至った背景とその種類について論ぜよ。【解説】□解説ビデオクリップ19世紀には、国家は個人の権利を侵害する存在と考えられていた。それゆえ国家はできるだけ....

基礎知識300# 208社会権法と社会/憲法社会権が誕生するに至った背景とその種類について論ぜよ。【解説】□解説ビデオクリップ19世紀には、国家は個人の権利を侵害する存在と考えられていた。それゆえ国家はできるだけ活動せず、警察や外交だけ行なえば良いとされた。合理的かつ勤勉な個人は失業状態や貧困状態に陥らず、自分の力で生活できると考えられていた。しかし、資本主義が進展するにつれ、こうした考え方が現実的でないことが明らかになった。どんなに勤勉で能力がある者でも、不景気による失業や疾病などのために働けず、貧困に陥る者が出てきた。職がなければ生活ができないので、どんなに不利・過酷な契約であっても労働者は資本家の提示する条件で労働契約を結ばざるを得なかった。その結果、長時間にわたり過酷な労働に従事しても、家族を養うこともできない状況が生じた。このように、「自由放任主義」「契約の自由」を基本とする「消極国家」「夜警国家」の下では、どんなに能力を持ち、勤勉な者であっても自分の生存を確保できない事態が生じた。そこで個人の生存を守るため、一定の行為を行うことが国家の役割とされた(「夜警国家」「消極的国家」から「福祉国家」「積極的国家」へ)。国家のそうした役割がはじめて明記されたのがドイツの「ヴァイマール憲法」(1919年)であった。ヴァイマール憲法151条1項では「人間にメンシェンビュルディゲス値する生存(menshenwurdigesダザインDasein)」の保障のため、一定の行為を行うことが国家の役割とされた。その後、個人の生存確保のために国家に一定の行為を求める権利である「社会権」が多くの国の憲法で規定されるようになった。日本国憲法でも、自力で生存を確保できない者が国に「健康で文化的な最低限度の生活」を求める権利である「生存権」(憲法25条)、能力に応じた教育を受けられるよう、国が経済的な支援を行うことを要請する「教育を受ける権利」(憲法26条)、「人間らしい生活」を送れる労働を国が労働者に保障する「勤労の権利」(憲法27条)や「労働基本権」(憲法28条)が保障されている。? #166福祉国家【関連問題】年月日1.非正規労働者と労働法制について論ぜよ。