経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 218/308

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概要:
基礎知識300# 211司法権法と社会/憲法裁判員制度の概要について紹介せよ。【解説】□解説ビデオクリップ2004年5月28日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」いわゆる「裁判員法」が公布された。「司法に対する....

基礎知識300# 211司法権法と社会/憲法裁判員制度の概要について紹介せよ。【解説】□解説ビデオクリップ2004年5月28日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」いわゆる「裁判員法」が公布された。「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上」(裁判員法1条)を目的として、2009年5月21日から裁判員制度が始まった。市民が裁判に直接参加する制度として、「陪審制」と「参審制」がある。陪審制は英米法体系の国で発展してきた制度で、事実認定を市民から選ばれた陪審員が行ない、職業裁判官は法律問題を担当するという制度である。一方、参審制はヨーロッパ大陸で発展してきた制度であり、職業裁判官と一般市民が合議を行い、その結果によって判決を出す制度である。今回の「裁判員法」では「参審制」に近い制度が導入された。地方裁判所での刑事裁判に限定して、裁判員が裁判官と一緒に裁判を行なう。裁判員が関与する裁判は、「死刑または無期懲役、無期禁固にあたる罪についての裁判」「それ以外でも、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪についての裁判」(裁判員法2条1項)である。裁判員裁判をする場合、原則として裁判員6人、裁判官3人で裁判を行なう(裁判員法2条2項)。地裁が毎年、各都道府県の選挙人名簿から作成した「裁判員候補者名簿」からくじ引などで無作為に抽出された者が裁判員候補者となる。裁判員候補者が質問票に虚偽の記載をして裁判所に提出したり、裁判員などの選任手続での質問に対して虚偽の陳述をしたら50万円以下の罰金となる(110条)。また、正当な理由がないのに裁判員選任手続や公判に出頭しなければ10万円以下の過料に科せられる(裁判員法112条)。なお、国会議員など特別公務員や弁護士、司法書士など(裁判員法15条)、被告人や被害者の親族(裁判員法17条)なども裁判員にはなれず、70歳以上の人や20歳以上でも学生、また、重病、介護や育児、仕事への著しい損失がある場合、父母の葬式など社会生活上やむを得ない事情があれば裁判員になるのを辞退できる(裁判員法16条)。今回の裁判員制度は、いわば法律の素人が裁判に参加するという「国民の司法参加」が目的なので、法律を知らないということは辞退の理由とはならない。なお、裁判員が評議の秘密や職務上知り得た秘密を漏らせば6月以下の懲役または50万円以下の罰金となる(裁判員法108条)。【関連問題】年月日1.死刑制度の是非に関する議論を紹介せよ。2.裁判員制度はいつから開始されたか。