経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 228/308
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基礎知識300# 221虚偽表示法と社会/民法べんぎAはBと相談して、便宜上、Aの持っている土地をBに買ったことにしてもらって、登記もBに移転した。Bがこの土地の事情を知らないCに売ったとき、AはCに対して土地の返還を....
基礎知識300# 221虚偽表示法と社会/民法べんぎAはBと相談して、便宜上、Aの持っている土地をBに買ったことにしてもらって、登記もBに移転した。Bがこの土地の事情を知らないCに売ったとき、AはCに対して土地の返還を求めることができるか。【解説】□解説ビデオクリップきょぎひょうじ虚偽表示における第三者保護の問題。虚偽表示の場合には民法94条に基づきその法律効果は無効(この場合であればAB間の売買契約は無効)である。したがって、Bにはこの土地の所有権がないため、本来であれば登記だけを信じてBからこの土地を購入したCには土地の所有権が移転することはなく、真の所有権者であるAがこの土地を取り戻すことができる。しかし、そもそも真の権利者が自ら虚偽の権利の外観(この場合はBに所有権があるかのような登記)を作り出した場合に、事情を知らない第三者にリスクを負わせることは適切ではない。そこで、民法94条2項に、虚偽表示の無効は、善意の第三者(AB間の契約が虚偽表示であることを知らない第三者)に対抗することができないという規定が置かれている。したがって、AはCに対してAB間の契約が無効であることを対抗できず、Cに対して土地の返還を求めることができない。また、94条2項の規定は、虚偽の外観作出につき真の権利者に何らかの帰責性がある場合に、善意の第三者を保護するために類推適用される。「善意」とは一定の事実を知らないこと、「悪意」とは一定の事実を知っていることを指し道徳的な善悪の意味はない。【関連問題】年月日1. AはBと相談して、便宜上、Aの持っている土地をBに買ったことにしてもらって、登記もBに移転した。Bがこの土地をCに売り、CがさらにDに売ったとき、AはDに対して土地の返還を求めることができるか。CDそれぞれが善意・悪意の場合に分けて考えよ。