経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 229/308

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概要:
基礎知識300法と社会# 222詐欺・強迫/民法AはBをだまして、Bの所有する土地甲を実際の価格の50分の1の価格で買い取った。その後、事情を知らないCに対し、土地甲を売却して大儲けをした。後にBが詐欺を理由としてAB....

基礎知識300法と社会# 222詐欺・強迫/民法AはBをだまして、Bの所有する土地甲を実際の価格の50分の1の価格で買い取った。その後、事情を知らないCに対し、土地甲を売却して大儲けをした。後にBが詐欺を理由としてAB間の契約を取消した場合、BはCから土地甲を取り戻すことができるか。【解説】□解説ビデオクリップ相手をだまして契約を結ばせた場合、被害者には契約の取消権が認められている(96条1項)。この場合、詐欺さぎを行った者が、被害者をだまして意思表示を行わせることを意図していたことが必要であり、また、その行為が社会通念に反する違法性を備える場合にはじめて詐欺と認められる。また、詐欺が成立して契約が取消された場合には、契約は最初にさかのぼって無効となる。その結果、本問におけるCは、本来であれば真の権利者であるBに土地を返還しなければならないが、事情を知らないCにとっては酷な結果となる。そのような場合に備えて、民法96条3項には「詐欺による取り消しの効果は、善意の第三者に対抗できない」と規定されている。したがって、本問の場合には、BはCに対してはAB間の契約が取消されたことを対抗することができず、土地を取り戻すことはできない。また、相手に害悪を及ぼすことを告げて畏怖いふを与え、その畏怖によって意思の決定をさせた場合、強迫による契約として被害者には契約の取消権が認められていることが、同じ条文に規定されている(96条1項)。したがって、強迫が成立して契約が取消された場合には、詐欺と同様、契約は最初にさかのぼって無効となるため、善意の第三者は、真の権利者であるBに土地を返還しなければならないが、事情を知らない第三者にとっては酷な結果となる。しかし、詐欺の場合と違い、強迫の場合の善意の第三者を保護する規定は民法には用意されていない。(96条3項は詐欺の場合にしか適用がない。)したがって、真の権利者は、善意の第三者に対しても元の契約が強迫を理由として取消されたことを対抗することができるため、土地を取り戻すことができる。【関連問題】年月日1. AはBをおどして、Bの所有する土地甲を実際の価格の50分の1の価格で買い取った。その後、事情を知らないCに対し、土地甲を売却して大儲けをした。後にBが強迫を理由としてAB間の契約を取消した場合、BはCから土地甲を取り戻すことができるか。