経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 234/308

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基礎知識300法と社会# 227消滅時効と除斥期間/民法Aは通り魔に遭って死亡した。犯人がわからないまま19年が過ぎたところでやっと加害者Bが判明した。その1年半後に訴訟の準備が整い、Aの遺族はBに対してAの損害の賠....

基礎知識300法と社会# 227消滅時効と除斥期間/民法Aは通り魔に遭って死亡した。犯人がわからないまま19年が過ぎたところでやっと加害者Bが判明した。その1年半後に訴訟の準備が整い、Aの遺族はBに対してAの損害の賠償を求める訴訟を起こした。Aの遺族の請求は認められるか。【解説】□解説ビデオクリップ権利の不行使が一定期間経過した後に、その権利が消滅することを消滅時効という。本文にあるような不法行為に基づく損害賠償請求権は、加害者および損害を知ってから3年で消滅時効にかかる(民法724条)。しかし、消滅時効については、時効の停止や中断が認められており、一定の理由が存在すれば、時効の進行がリセットされたり、時効の進行が一時停止したりする(民法147条~161条)。じょせききかんまた、同じく一定期間権利を行使しないことによって権利が消滅する「除斥期間」という制度がある。しかしこの除斥期間は消滅時効と違い、中断や停止がなく、援用が不要であるため、裁判所が職権で権利を消滅させることができる。本問のような不法行為に基づく損害賠償請求権の場合、不法行為のときから20年で除斥期間にかかる(民法724条後段)。したがって本問の場合には、事故からすでに20年が経過しており、除斥期間が成立するためAの損害賠償請求権は消滅している。もしBが自らの損害賠償責任を認めていても、裁判所が職権で除斥期間の成立に基づいて判断するため、Aの遺族の損害賠償請求は認められない(民法724条後段)。るいすいてきようしかし、最近では除斥期間に時効の停止規定を類推適用すべきとの考えもあり、実際に最高裁で除斥期間の停止が認められた事例もある(最判平成10.6.12民集52巻4号1087頁)。【関連問題】年月日1. Aは0歳のときに国の実施する予防接種による脳炎を起こし、心神喪失状態となった。21歳になったとき、予防接種禍にたいする集団訴訟を起こすこととなった。そのためAの父親であるBを後見人として成年後見の審判を受けた。この場合、Aは国に対して損害賠償を請求することができるか。