経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 256/308
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基礎知識300現代経済の諸問題# 249エネルギー政策課題/資源経済学エネルギー政策の課題として「トリプルE」あるいは「3Eのトリレンマ」があげられる。これは何を意味しているかを説明しなさい。【解説】□解説ビデオク....
基礎知識300現代経済の諸問題# 249エネルギー政策課題/資源経済学エネルギー政策の課題として「トリプルE」あるいは「3Eのトリレンマ」があげられる。これは何を意味しているかを説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップトリプルEのEは、Energy(エネルギー)、Environment(環境)、Economy(経済)の頭文字の“E”を3つ並べたものである。それぞれの“E”が意味することは、①エネルギーの安定供給、②環境保全、③経済効率性、である。これら3つの目的を同時に達成したいというのが、日本を含む先進諸国が掲げるエネルギー政策の課題である。しかし、これら3つの目的を同時に達成することは容易ではない。そのため、エネルギー問題のトリレンマ(三重苦)とも言われている。トリレンマの構造は、次のように示される。例えば、「エネルギーの安定供給」だけを目的とするのであれば、国内に存在する石炭を利用したり、紛争が少ない地域の北アメリカ産原油を輸入すべきである。しかしこれらは、他地域からの輸入品に比べて割高で、「経済効率性」を損なう。また、「環境保全」のためには、自然を利用した再生可能エネルギー(風力・太陽など)の導入を目指すべきである。これらは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない。しかし,こうした再生可能エネルギーによる発電コストは、化石燃料(石油・石炭・天然ガス)による発電や原子力発電に比べて、割高で、なおかつ出力が風任せお天気任せであるため、電力の安定供給に寄与しない。一方、相対的に経済性の高い化石燃料についてみれば、石炭は温暖化ガスを大量に発生させるし、石油は紛争の絶えない中東OPECに供給の大半を依存する。つまり、経済性を優先させようとすれば、環境保全やエネルギー安定供給の目的を達成することが難しいというわけだ。こうした、エネルギー政策の課題を克服するために、次のような施策が導入される。対外的には、2国間や多国間にわたる資源外交、国際エネルギー機関などをベースとした国際協調。国内対策としては、省エネルギー促進、石油代替エネルギーの導入促進、石油備蓄、資源開発支援、再生可能エネルギー(新エネルギー)導入促進、エネルギー関連の技術革新への税財政支援、などがある。【関連問題】年月日1. 2011年3月11日の東日本大震災・福島第1原子力発電所事故を経て、それまでの「原子力神話(安全、安価、環境に優しい)」が崩れた。それでもなお、原子力発電は日本に必要だという主張がある。その論拠はどのようなものと考えられるか。