経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 258/308

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基礎知識300# 251埋蔵量現代経済の諸問題/資源経済学枯渇性資源の「埋蔵量(Reserve)」の概念を整理し、「確認可採埋蔵量」とはどういうものかを説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップ地下に眠る資源(例えば石....

基礎知識300# 251埋蔵量現代経済の諸問題/資源経済学枯渇性資源の「埋蔵量(Reserve)」の概念を整理し、「確認可採埋蔵量」とはどういうものかを説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップ地下に眠る資源(例えば石油)の埋蔵量を正確に把握することは困難である。その理由は、全地球(とりわけ極地や海底)の調査・探査が完了していないこと、現在の探査技術では発見できない埋蔵量も想定されること、による。また、埋蔵量が確認されたとしても、現在の採掘技術と経済性を踏まえれば、抽出できない量もある。そのため、一般に埋蔵量は大きく2つの視点から捉えられる。第一は存在の有無から捉えたものであり、第二は抽出可能性から捉えたそれだ。第一の存在の有無から捉える場合、数値の不確さを踏まえて、埋蔵量は次のように整理される。①神のみが知る(あるいは発見期待の)「究極埋蔵量(Ultimate Reserve)」、②将来的に探査が可能であると考えられる「可探埋蔵量(Discoverable Reserve)」。③既に生産を開始している鉱山や油田のデータを基に当該鉱区の埋蔵量を示す「確認埋蔵量(Proved Reserve)。この他に、確認埋蔵量に比べれば確度は落ちるが、④「推定埋蔵量(Probable Reserve)、⑤「予想埋蔵量(Possible Reserve)」というものもある。一方、資源量の抽出可能性から埋蔵量を捉えると、(1)「原始埋蔵量(In-place Reserve)」と(2)「可採埋蔵量(Recoverable Reserve)」に大別される。「原始埋蔵量」は、その鉱区や油層に存在する資源の総量のことであり、「可採埋蔵量」は原始埋蔵量のうち現在の技術と経済性をもとに生産可能な量のことである。石油の可採埋蔵量は、原始埋蔵量の30%~40%(この値は「回収率」と呼ばれる)である。上で示した埋蔵量のうち、存在が確認され(確認埋蔵量)、なおかつ抽出可能な(可採埋蔵量)資源量が「確認可採埋蔵量」と呼ばれる。「埋蔵量」といえば、この概念を示すことが一般的である。また、確認可採埋蔵量を生産量で除した値は、「可採年数」や「R/P(Reserve/Production)比」と呼ばれる。これは、当該資源があと何年もつかを示すが、それほど確たる値ではない。なぜなら、分母の生産量は毎年変動するし、分子の確認可採埋蔵量も技術や経済性によって変わるからである。原油の確認可採埋蔵量は、70年代の石油危機以降現在までに4割近く増大した。その大部は、新たに大油田が発見されたのではなく、回収技術等を踏まえた既存の確認可採埋蔵量の再評価によるものである。【関連問題】年月日1. 1973年の第一次石油危機の折、「石油はあと30年しか持たない」と言われ、世界がパニックに陥った。それから50年近くたった現在、「石油は、あと40年は大丈夫」と言われる。どうしてこのようなことになるのか。