経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 259/308
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基礎知識300現代経済の諸問題# 252バックストップ・テクノロジー論/資源経済学W.ノードハウスが提唱した「バックストップ・テクノロジー論」とは、どういう理論か?【解説】□解説ビデオクリップエネルギー資源の主役....
基礎知識300現代経済の諸問題# 252バックストップ・テクノロジー論/資源経済学W.ノードハウスが提唱した「バックストップ・テクノロジー論」とは、どういう理論か?【解説】□解説ビデオクリップエネルギー資源の主役は歴史とともに変化してきたし、これからもそうであろう。ある資源が物理的に有限な枯渇資源であるとすれば、枯渇の程度に従って価格は上昇する。しかし一方で、その価格上昇が別の新しい資源や技術に経済性を与えるようになる。例えば、石油を代替する石炭液化やガス液化(GTL)はその有力候補である。こうした将来有望な代替技術や資源は「バックストップ・テクノロジー」と呼ばれる。このバックストップ・テクノロジーの存在に注目し、それが現在利用している資源の価格に影響を及ぼすことを理論的に示したのがW.ノードハウス(W. Nordhouse)である。彼は、ホテリングの定理(注)に則して、現在資源の価格が割引率(金利相当)に従って年々上昇するとしても、その上昇は無限ではなく、天井があるはずだ。その天井価格はバックストップ・テクノロジーの供給コストだ、と考えた。そこで、現在利用している資源の価格は、①バックストップ・テクノロジーに移行するまでの時間(代替時期、現在使用している資源の可採年数)、②将来のバックストップ・テクノロジーの価格(コスト)、③割引率(金利)によって決まる、と定式化された。つまり、PtP? (1)( 1?r)T( T ?t)ここで、Ptは現在の資源価格、PTがバックストップ・テクノロジーの価格、rは割引率である。また、Tが移行時期(枯渇性資源の代替時期)、tが現在時点とするため、(T-t)は以降までの経過時間(可採年数)を示している。このバックストップ・テクノロジー論は、次のことを示唆している。現在利用している資源の価格を安く安定的なものにしようというのであれば、①代替技術の開発努力を怠ることなく推進し、そのコストダウンを図ること、②現在の利用資源の枯渇時期を遅らせること(それには確認可採埋蔵量の追加、現在の消費量(=生産量)の節約など)が重要である。(注)「ホテリングの定理」とは、枯渇性資源の価格は、①短期的には利権料と生産コスト(限界生産費)に依存し、②長期的には割引率(金利相当)に従って上昇すること、をいう。【関連問題】年月日1.ゴミ最終処分場の収容能力が限界に近づいているという。一方で、ゴミのリサイクル技術も利用されるようになってきた。バックストップ・テクノロジー論を用いて両者の関係を捉えてみると、ゴミ処理コストはどのようになると考えられるだろうか。