経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 263/308
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基礎知識300# 256市場集中現代経済の諸問題/産業組織論市場の集中度合いを測る指標にハーフィンダール指数というものがあるが、どのようなものか説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップある産業を研究対象とす....
基礎知識300# 256市場集中現代経済の諸問題/産業組織論市場の集中度合いを測る指標にハーフィンダール指数というものがあるが、どのようなものか説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップある産業を研究対象とする際に、その構造を知ることは研究の第一歩として重要なことである。そのための最も簡便なものは、当該産業に参加している企業数を数えあげることである。ミクロ経済学で学習するように、市場に参加する企業数の多寡は、その市場行動や市場成果に大きな影響を及ぼす可能性がある。企業数が多ければ完全競争市場に近い市場構造であり、逆に企業数が少なければ独占市場に近い市場構造であるとの判断につながる。しかしながら、同じ企業数でも、巨大企業が1社存在する場合と、等規模の企業が並存している場合とでは、競争状況に違いが出てくるはずである。その違いを知るために、マーケット・シェア(市場占有率)という指標が用いられる。ある企業の生産量をqとし、その産業全体の生産量をQとすると、マーケット・シェア=qQで表される。日経産業新聞社『日経シェア調査』のような出版物には、主要な産業の企業ごとの実際のマーケット・シェアが毎年示されている。これらを用いると、各産業の市場集中度とともに、当該産業の競争状況の推移を検証することができる。産業の構造を知るための指標としてハーフィンダール指数(Herfindahl index)がある。これは、ある産業に参加している企業数がn社である時、ハーフィンダール指数=s1 2 +s2 2 +s3 2 +・・・・・+sn 2で求められる。ここでsiは当該産業における第i企業のマーケット・シェアを表す。マーケット・シェアの2乗和を求めることで、規模の大きな企業が参加していれば、そのハーフィンダール指数は大きな値となり、この指数の大小だけで、市場集中度を適切に捉えることができる。例えば、A産業の企業数は4社でマーケット・シェアが、90%、5%、3%、2%であれば、ハーフィンダール指数=90 2 +5 2 +3 2 +2 2 =8138となる。これに対して、B産業の企業数は同じ4社でマーケット・シェアが28%、26%、24%、22%ならば、ハーフィンダール指数=28 2 +26 2 +24 2 +22 2 =2520である。このように、同じ企業数であっても、市場構造の違いをハーフィンダール指数1つで適切に示すことができる。公正取引委員会のWebサイトで、このデータを入手することができる。【関連問題】年月日1.累積集中度というのは、どのようなものか説明しなさい。