経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 264/308

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基礎知識300# 257工場現代経済の諸問題/ものづくり経済論工場とは何か。【解説】□解説ビデオクリップ一般的には、モノやサービスを生産する空間(場)、といえる。しかし、それだけでは工場の本質をとらえきれている....

基礎知識300# 257工場現代経済の諸問題/ものづくり経済論工場とは何か。【解説】□解説ビデオクリップ一般的には、モノやサービスを生産する空間(場)、といえる。しかし、それだけでは工場の本質をとらえきれているとはいえない。工場とは、「かなり多数の労働者が、同じときに、同じ空間(または同じ労働場所)で、同じ種類の商品の生産のために、同じ資本家の指揮のもとで働く」ところである。イギリス産業革命期(18世紀後半~19世紀前半)に出現した工場は、「歴史的にも概念的にも資本主義的生産の出発点」をなすものである。工場は、「協業の経済」が基本をなし、「規模の経済」やさまざまな分業と有機的に結合して、以前にはなかったような「生産力の創造」空間として、工業社会の基軸をなしてきた。工場といえば、巨大な設備が立ち並び、騒音や煤塵、汚水などを排出する3K(汚い・きつい・危険)なところ、をイメージする人が少なくない。産業革命から20世紀後半に至るまで、そうした工場環境の時代が長く続いたのも厳然たる歴史的事実である。しかし、1970年代以降、世界一厳しいといわれた公害規制法や石油危機を契機に、社会の監視や関心が強まり、公害防止技術や省エネ技術さらに電子制御技術が進展するなか、工場のクリーン度や公開性が高まってきている近年の変容も見逃せない。21世紀に入った今日、「工場萌え」なる写真集まで登場するなど、工場が話題になる機会が増えている。イメージアップや地域貢献のために、工場見学を受け入れ、より楽しめるよう工夫する企業も出てきた。他方、生産停止した工場を、産業遺産として、地域の文化資源として再評価する動きもみられる。廃工場を、芸術創造空間やイベント会場として、あるいは観光資源として活用するという試みが、欧米をはじめ日本各地でもみられるようになってきている。工場は今や、ものづくり空間としてだけでなく、芸術創造や観光・交流空間としての意味を持ちはじめている点が注目される。21世紀は、ポスト(後)工業社会あるいは知識社会の時代といわれる。工業社会の基軸をなしてきた工場も、大きな変容をみせはじめている。【関連問題】年月日1.工場見学や工場で働いた経験があるか。そのときと現在の工場イメージを比較してみる。2.工場が(社会の主役として)登場するのはいつの時代か。3.知識社会の工場はどう変わりつつあるか。情報通信技術を軸に考えて見る。