経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 265/308

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基礎知識300# 258日本的経営現代経済の諸問題/日本経済論「日本的経営」とは何か。【解説】□解説ビデオクリップ「日本的経営」とは、日本企業に特徴的な経営慣行・方式を指す言葉である。「日本的経営」は、戦中戦後....

基礎知識300# 258日本的経営現代経済の諸問題/日本経済論「日本的経営」とは何か。【解説】□解説ビデオクリップ「日本的経営」とは、日本企業に特徴的な経営慣行・方式を指す言葉である。「日本的経営」は、戦中戦後に形成され、高度成長期には大企業を中心に幅広く見られるようになった。日本的経営を初めて評価したのは、ジェイムズ・アベグレン(James Abegglen)『日本の経営』(1958年)といわれている。それまでは日本企業の後進性とみなされていた3つの側面、すなわち終身雇用(いわゆる長期安定雇用)、年功序列、企業内組合に再評価の光をあて、日本的経営の特長とみなした。1960年代の高度成長期には、新卒を正規社員として一括採用し、定年まで長期雇用し、年功序列(勤かんよう続年数と社内功績の積み上げ重視)によって社員の忠誠心を涵養し、企業別組合により労使協調を図る、といった経営慣行・方式が、日本の大企業を中心に中堅企業にまで広がりをみせる。急速な設備拡張などに伴い各企業とも人材が払底するなか、優秀な人材を囲い込み経営拡大を進めていく推進力となった。さらに、1970年代の石油危機に対しては、「小集団活動」などを軸に全社上げての取り組みを促し、いち早く石油危機を克服して1980年代の「日本の世紀」をもたらす。「日本的経営」は、そうした影の主役として、内外の注目と評価を集めた。しかしながら、1990年代以降はバブル経済が崩壊するなか評価も一転して、グローバリゼーションさらにはアメリカナイゼーションの下で、雇用重視から株主重視への傾向が強まるなど、「日本的経営」離れが内外で進んだ。護送船団方式と呼ばれるなど裁量的な行政指導(見えない規制)を特徴とする戦後日はたん本型金融行政は、主要銀行の経営破綻などで行きづまり、ルール化・法制化による見直しを余儀なくされる。規制緩和が、金融だけでなく雇用慣行など各分野を巻き込んで進められた。非正規雇用の比率が急速に高まるなか、格差と貧困も社会的問題となるなど、「平等神話」の崩壊も見逃せない。? #246雇用システム【関連問題】年月日1.21世紀の今日、「日本的経営」はどのように変容しているか。2.「日本的経営」と対照をなす英米型経営の特徴は何か。