経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 271/308

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基礎知識300地域と経済社会# 264町並み保存/まちづくり論1960年代後半から、地域の個性的な景観を再評価する動きが現れてきた。それらの運動は、町並み保存運動という形で、全国的な展開が見られるようになった。例....

基礎知識300地域と経済社会# 264町並み保存/まちづくり論1960年代後半から、地域の個性的な景観を再評価する動きが現れてきた。それらの運動は、町並み保存運動という形で、全国的な展開が見られるようになった。例えば、妻籠宿(南木曽町)などがその先進的な取り組みとして挙げられる。このような保存運動をささえる制度として、1975年に文化財保護法の改正によって生まれた制度は何と呼ばれているか。【解説】□解説ビデオクリップ1975年の文化財保護法の改正によって伝統的建造物群保存地区(通称、伝建)制度が発足し、城下町・宿場町・門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られるようになった。この制度では、市町村が「伝統的建造物群保存地区」を定め、国はその中から価値の高いものを「重要伝統的建造物群保存地区」として選定し、市町村の保存事業への財政的援助や必要な指導・助言を行なうものである。組織的には、伝統的建造物群保存地区を持つ市町村が集まり、昭和54年に「全国伝統的建造物群保存地区協議会」が発足している。協議会は、保存地区の歴史的町並を保存するための情報収集や発信のため、講演会の開催やパネル展、Webサイトの開設などを行っている。平成20年4月現在、71市町村が加入している(協議会Web;http://www.denken.gr.jp/)。伝建制度は、建物の可視的な部分を保全するには、大きく貢献したが、コミュニティの活性化自体に寄与する制度ではない。そのため、伝建地区の中には、中心市街地の空洞化現象に悩まされ地区を支えるコミュニティ自体が疲弊しているところもある。景観保全は、地区における健全なコミュニティが必要であり、政策的には、一体となったものとして推進することが望まれる。なお、その他、景観に関する制度として捉えておくべきは、2005年に全面施行された「景観緑三法」がある。これは、都市や農山漁村で良好な景観を形成するための基本理念や、国や事業者などの責務を規定した景観法、都市計画法や屋外広告物など関連法規を整備する景観法関連法、大規模開発時に一定の敷地面積の緑化を義務付ける都市緑地法を併せたものである。参考文献:『やさしい日経経済用語辞典』【関連問題】年月日1.伝建制度の意義と限界を考えてみよ。