経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 274/308

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基礎知識300地域と経済社会# 267自発的なコミュニティの創造/まちづくり論地域の発展において、外部の大規模な資本に依存することなく、地域内部の主体が中心となって、地域内の潜在的資源を再評価しつつ、それらを....

基礎知識300地域と経済社会# 267自発的なコミュニティの創造/まちづくり論地域の発展において、外部の大規模な資本に依存することなく、地域内部の主体が中心となって、地域内の潜在的資源を再評価しつつ、それらを活用する方策を模索する考え方がある。それは、どのように呼ばれているか。【解説】□解説ビデオクリップ外部資本に依存した発展を目指すことには、大きなリスクを伴うこととなる。例えば、大規模な企業団地を造成したものの、企業誘致が思うように進まず、結果、財政的な負担が圧し掛かるケースもある。そのため、こうした考え方ではなく、地域の内部から発展の方向を模索する考え方が内発的発展論である。それは、概ね、以下のように定式化されている。(1)大企業や中央政府による開発事業ではなく、地元の技術・産業・文化を土台にして、地域内市場の発展を重視し、地域の住民が学習や計画の経営をするものである。(2)環境保全の枠の中で開発を考え、自然の保全や美しい街並みを創出するアメニティを重視し、福祉や文化の向上によって住民生活を豊かにする総合目的をもっている開発である。(3)産業発展にあたって、特定業種に限定せず、多様な産業連関構造を地域内でつくりあげ、付加価値が地元に帰属するような地域経済の質をつくりあげるものである。(4)住民参加を制度化し、自治体が住民の要求に基づいて、資本や土地所有を公共的に規制しうる強力な自治権をつくりあげるものである。内発的発展論が、理論なのか、あるいはたんに運動論としての現象を捉えたものなのか、については議論の分かれるところでもある。だが、今日の地域社会を考える上で、貴重な理念であることは間違いない。内発的発展の事例として、取り上げられる代表的な事例として、湯布院町(大分県、現在の由布市)や足助町(愛知県、現在の豊田市)などがある。足助町の事例については、古池嘉和「中山間地域の文化政策(第5章)」『入門文化政策』ミネルヴァ書房、2008年で詳述しているので参考にしてほしい。参考文献:宮本憲一他『地域経済学』有斐閣ブックス,1991年より【関連問題】年月日1.内発的発展論を進めた政策的な例として大分県の平松知事が提唱した運動論のキャッチフレーズは何か。2.内発的発展論の実践事例を評価せよ。