経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 37/308
このページは 経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 の電子ブックに掲載されている37ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
基礎知識300マクロ経済学# 30フィリップス曲線と自然失業率仮説/マクロ経済学古典派の考え方の流れをくむマネタリストのフリードマンはフィリップス曲線を用いてケインズの裁量的な財政・金融政策(有効需要政策)の無....
基礎知識300マクロ経済学# 30フィリップス曲線と自然失業率仮説/マクロ経済学古典派の考え方の流れをくむマネタリストのフリードマンはフィリップス曲線を用いてケインズの裁量的な財政・金融政策(有効需要政策)の無効性を主張した。これを自然失業率仮説という。この内容を説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップフィリップス曲線とは、貨幣賃金変化率と失業率の間にあるトレード・オフ(相反する関係)を表した曲線のことをいう。また賃金上昇率を物価上昇率に置き換えたものは、物価版フィリップス曲線という(賃金上昇率と物価上昇率には正の相関があると考えられるから)。左図はこの物価版フィリップス曲線を示している。ここで?は物価上昇(インフレ)率、?は失業率を意味する。??? ????0? ?? ????? ??0? ???ケインズの有効需要拡大(財政・金融)政策は企業の生産活動を活発化させ、賃金および物価上昇率を高めるために失業率を低下させることができると考える。しかし、フリードマン(M.Friedman)は物価版フィリップス曲線が1本になるのは、人々が持つ将来の物価上昇率の予想(期待インフレ率)が変わらない(短い)期間にのみ成立すると考える。フリードマンは完全雇用が実現されている状態でも避けられない失業、たとえば職を変えるときの一時的な失業(摩擦的失業)が存在し、長期的には物価上昇率はどうであれ、この完全雇用の状態における失業率(これを自然失業率)に落ち着くものと考える。つまり、長期的なフィリップス曲線は自然失業率の水準で垂直に立つことになる(インフレ率には依存しない)。今、期待インフレ率がゼロ(?? ?0)のフィリップス曲線上のA点にいたとする(この時の失業率は自然失業率??であり、人々は、インフレは起きていないと考えている)。この状態から政府が失業率を減らす目的で財政政策を実施したとする。これにより企業活動が活発化して貨幣賃金が上昇する一方で、人々がインフレは起きないと考えているから、実質賃金(貨幣賃金÷物価)が高くなったと考えて労働供給を増加させることにより失業率は低下する(??から??へ、AからBへの動き)。しかしこの貨幣賃金の上昇により物価が(同じ程度に)上昇し(??へ)、それに気付いた人々は実質賃金がもとのA点のときと変わっていないことを知り、期待インフレ率を?? ?0から?? ???へ修正し、フィリップス曲線が移動させて、労働供給量を元のA点の水準(??)に戻す(BからCへの動き)。そのように、長期的にはケインズ政策はインフレ率を高めるだけで無効であると考える。