経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 93/308
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基礎知識300# 86経済発展と分業歴史から学ぶ経済学/経済史入門古代から現代に至る人類の歴史は、絶えざる生産性の向上に基づく経済発展の歴史でもある。この生産性向上を実現させるために不可欠の要因である「分業」....
基礎知識300# 86経済発展と分業歴史から学ぶ経済学/経済史入門古代から現代に至る人類の歴史は、絶えざる生産性の向上に基づく経済発展の歴史でもある。この生産性向上を実現させるために不可欠の要因である「分業」を説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップ人類が経済活動を展開させる中で生産性の向上を志向する時、基本的には生産効率を改善する方策として「分業」を進展させる。分業(division of labor)とは、単一の労働者が全ての生産工程を担うのではなく、細分化した生産工程それぞれに労働者を配置して製品を生み出す方法である。従って、労働者は複数の異なる生産工程を担当することなく、単一の生産工程のみに専念できるため、全ての生産工程を単独で行うよりも生産性が向上するのである。経済学の古典である『国富論』を著したアダム・スミスは、分業こそ労働生産性改善の究極の要因とし、また分業の発生を人間固有の交換性向に求め、分業拡大の範囲は市場の広さによって制約されるとした(金森久雄他編,『有斐閣経済辞典(新版)』,1990年)。これは、言い換えれば、社会的分業(socialdivision of labor,=各職業分野に専門化すること)の展開が市場規模に規定されることをも示しており、古代から現代への時代の流れを考えた場合、家族共同体~村~地域~国~国外へと経済活動の範囲が広がっていくほど社会的分業の展開が促進されると理解できる。一方、分業や社会的分業の進展は「交換」を活発化させる要因でもある。従って、分業や社会的分業の進展による生産性の向上は、余剰生産の拡大を可能にし、それを前提にした職業の細分化、すなわち非農業従事者の扶養を可能にする。古代から近世までの自給自足を原則とする人類社会の中にあっては、基本的に生産力は労働投入量だけでなく、労働者の「効率性」によっても大きく左右される。しかし、それらを変化させるには生産物の交換という行為が背景にあることを留意しておきたい。? #110アダム・スミス【関連問題】年月日1.「社会的分業」を英語で何というか。