経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 94/308

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基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 87中世の遠隔地商業/経済史入門中世中期に生じた遠隔地商業の発達や都市形成が、全面的な社会変革をもたらさなかった理由を説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップ11世紀に見ら....

基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 87中世の遠隔地商業/経済史入門中世中期に生じた遠隔地商業の発達や都市形成が、全面的な社会変革をもたらさなかった理由を説明しなさい。【解説】□解説ビデオクリップ11世紀に見られる、いわゆる「商業の復活」によるヨーロッパ商人の地中海貿易における活動領域の拡大は、それ以前のイスラーム商人による地中海貿易の優勢な状況を変えることとなった。それに伴い、地中海に面したイタリア諸都市の経済力が増大し、西ヨーロッパの社会経済的な変化を生じさせていくことになる。この変化をもたらした遠隔地商業の発達は、それに従事する商人の社会的影響力を増大させ、独自の活動領域としての自治都市(中世都市)を成立させるに至る。また、その後には東欧やバルト海での活動を担うドイツ(ハンザ)商人の台頭もあり、ヨーロッパにおいて広域流通ネットワークを形成し得る中核となる存在が生まれたのである。しかし、どれだけ商業や手工業が発達したとしても、それが直接的に農村の全面的な解体をもたらしたわけではない。世界における最大の労働人口を抱える産業が農業であるため、この部分の変化が無ければ社会への影響は限定的なものにならざるを得ない。すなわち、この時期の商業の発達は、ヨーロッパ内の農村とリンクした形で実現したわけではなく、遠隔地交易という対外的な経済機会がもたらした変化だったのである。また、当時の商業は必ずしも利潤を再投資して資本の循環(増殖)を生み出したわけではない。その意味では、後に生み出される資本主義システムと直結するものではなかった。ただし、その一方で都市ギルドに保護された工業生産の発達が生じたことも事実であり、ヨーロッパにおける社会経済的変化は地域によって偏差が存在していたと言える。【関連問題】年月日