経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 96/308

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基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 89産業資本と商業資本/経済史入門資本主義を推進した産業資本と、従来までの商業資本の最大の違いは何か。【解説】□解説ビデオクリップ取引によって獲得した利潤をどのような形で処....

基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 89産業資本と商業資本/経済史入門資本主義を推進した産業資本と、従来までの商業資本の最大の違いは何か。【解説】□解説ビデオクリップ取引によって獲得した利潤をどのような形で処理するかが大きく異なる。産業資本は、拡大再生産を実現するために獲得した利潤の一部を常に再投資に回す。そうすることで資本の(増殖する)循環運動を発生させようと試みている点が特徴である。イギリスにおける初期の産業資本家は、イングランドの農村出身者が多いと言われており、従来の封建領主ではなかった所に特徴がある。彼ら農村出身の産業資本家が生まれた背景には、囲い込みによる土地の集積と、賃金労働者としての「小作人」を利用する農業経営を基盤にした生産形態が確立されたことが大きい。いわゆる「中産的生産者層」の出現と、「局地的市場圏」における競争を伴った生産活動により、農業の生産効率が高められると同時に「利潤の偏在」が常態となってくる。これが貧富の差を生じさせて「中産的生産者層」を産業資本家と農業労働者へと二分していくことになる(両極分解)。こうした動きを「資本の原始的蓄積」と呼ぶが、富める者がより多くの利潤を求める(=競争に勝つ)ための動きを促進していく中で、得られた利潤を再投資する形をとりはじめたのである。一方、中世の商業資本は、王室や権力者から特権を得た商人層が多く、競争に基づく市場取引を生み出さなかった。また、取り扱う商品が主に奢侈品であったことから、特定の需要者との関係に限定された活動でもあった。こうした特権による「保護」を受けた商業資本は、ライバルとの競争を勝ち抜く環境への移行を自ら求めるはずもなかったのである。【関連問題】年月日