経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 97/308
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基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 90産業革命の歴史的意義/経済史入門産業革命の歴史的意義は、どのようなものか。【解説】□解説ビデオクリップ産業革命(industrial revolution)とは、単なる生産力の飛躍的拡大では....
基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 90産業革命の歴史的意義/経済史入門産業革命の歴史的意義は、どのようなものか。【解説】□解説ビデオクリップ産業革命(industrial revolution)とは、単なる生産力の飛躍的拡大ではなく、生産に関する根本的な「革命」である。それは、従来まで道具を用いる手工業(マニュファクチュア,manufacture)に基づく生産活動が主流であったものが、機械による大量生産(機械制大工業)へと生産のあり方を大きく変化させたことを指す。産業革命を契機にして、物質的豊かさを求める人間の欲望が覚醒され、近代社会の様相を大きく変える原動力となった。また、様々な技術革新による経済的な影響だけでなく、社会に与えた影響も大きい。それは、資本・賃労働関係が基本的な社会関係となったことであり、資本家(資本力による政府の政策への関与)や労働者(労働運動)が社会を動かす存在として認識されるようになっていったのである。ただし、産業革命による持続的成長の条件創出は、プラスの効果しかもたらさなかったわけではない。資本主義の構造的欠陥である恐慌の発生、失業、労働条件、環境問題など、現在でも克服されていない社会問題を生み出す契機にもなったのである。さらには、絶え間ない生産の拡大と利潤の追求が、資源や市場を奪い合う構図を創出し、経済的な競争の激化にとどまらない国家間の争いや秩序の破壊も生じさせ、現代世界にもその傷痕を残したままとなっている。近代世界において、産業革命を達成した工業国(先進国)と農業国による国際分業体制が形成されつつあったが、それらはたんに経済的な関係ではなく、植民地化という領域支配にまで踏み込んだものであり、植民地化された地域の経済構造は支配国の都合の良い形に再編され、その後遺症が現代の途上国に深く刻みこまれている。すなわち、産業革命とは経済的な成長を実現する状況を作り出した反面、経済的な利害によって他国にまで深刻な影響を及ぼした功罪両面を持ち合わせた歴史的イベントであり、かつ現代世界を理解する上でも重要な事柄として把握しておかねばならない。【関連問題】年月日1.蒸気の動力機関を発明し、産業革命に貢献したエンジニアは誰か。2.フルトンの実験によって、実用化された蒸気機関を搭載した乗り物は何か。