経済学部生のための基礎知識300題 ver.2

経済学部生のための基礎知識300題 ver.2 page 99/308

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基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 92独占資本主義の形成/西洋経済史19世紀末から20世紀初めにかけての独占資本主義の形成要因を述べなさい。【解説】□解説ビデオクリップ先進国での産業革命の達成の結果、各国ではそ....

基礎知識300歴史から学ぶ経済学# 92独占資本主義の形成/西洋経済史19世紀末から20世紀初めにかけての独占資本主義の形成要因を述べなさい。【解説】□解説ビデオクリップ先進国での産業革命の達成の結果、各国ではそれぞれ恐慌を経験することになり、企業の淘汰も進んで行った。当時の企業は中小企業が中心であり、株式会社もそれほど一般化していなかった。そのような中で1850年代以降、従来の職人的技術や経験的技術を基盤とする産業から徐々に組織的研究や高度な学術研究を基盤とする産業が目覚ましい発展を示すようになっていった。それは製鋼業や電気・化学・薬学・機械産業などの一般に新産業と呼ばれるものである。これには少し後に発展する石油や自動車などの産業も含めて、巨大な設備を必要として従来の中小企業では対応できない状況となった。そこで本格的な株式会社による大企業経営が一般化し、これが巨大金融資本の仲介によって成立することも多くみられた。一般大衆から広く資本を募り、成立した巨大株式会社が市場を徐々に支配するようになっていった。しかしながら、当時始まった交通革命の結果、世界経済はパナマ運河やスエズ運河の建設と蒸気船による運輸体制さらに電信などの発達による情報網の確立と相まって世界は本格的にひとつに統一された結果、成立した新産業は当時の拡大する世界資本主義市場経済の需要を十分満たすことができず、とりわけ世界市場における農業の過剰生産から始まり、従来の産業革命を達成した主要分野であった軽工業や製鉄業などで深刻な不況が発生し、歴史上初めて世界規模の大恐慌が発生した。これを経済史では1873年「大不況」と呼ぶ。1929年「大恐慌」と区別するためである。「大不況」の過程で各国の市場で激烈な競争が展開され、巨大資本による市場の支配が進み、とりわけ産業の性格から新産業において急速にそれは進展し、独占資本主義を形成することとなった。1890年代以降新産業を中心に独占資本(monopolistic capital)は急速な発展を見せ、最終的には各国政府の対外投資の性格をも左右するようになり、政府の投資が独占資本の市場支配の手段となるに至った。このように独占資本は国内の市場支配のみならず世界市場においてもその支配をめぐって自国政府も巻き込み激烈は闘争を展開するようになった。参考文献:角山栄『図説経済学体系新版西洋経済史』学文社, 1981年【関連問題】年月日1.大不況はいつ起こったか。2.「独占」を英語で何というか。