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W.2001年度活動報告
プロジェクト研究代表 小林 甲一
 このEXPO2005プロジェクト研究が活動を開始してすでに4年以上経ったが、ようやく博覧会計画や事業規模が具体化され、しかもこのプロジェクトの主要な研究テーマの1つである「国際博覧会の経済効果に関する計量分析 ― 開催実績比較・地域開発の視点から― 」が平成13年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(2):課題番号13430018)の交付対象として採用されたため、2001年度の研究調査活動はよりいっそう活発になり、その成果はこれまで以上に大きなものとなった。なかでも、オーストラリアへの海外調査およびジャパンエキスポ2001調査は、「EXPO2005が地域に及ぼす経済・社会効果」を「地域からの視点」と「国際比較の視点」の両面から考察しようとするというこのプロジェクト研究の基本スタンスからみてきわめて有意義であった。瀬戸市の活性化事業・産業振興に対する政策提言もしだいに具体化してきており、また、「地域を生かす博覧会 ― ジャパンエキスポ2001から愛知万博へ ― 」と題して通算4回目となるシンポジウムを開催した。それ以外のものも含めて、概ね、計画した研究テーマに沿って着実な調査研究活動を続けている。2001年度の主要な活動内容は、以下のとおりである。

1.主な調査研究活動
  ・EXPO2005の構想や内容、会場基本計画に関する調査および政策提言
  ・EXPO2005の開催効果に関する調査研究
  ・国際博覧会の経済効果に関する計量分析(科研費関連)
  ・博覧会開催効果に関する国際比較調査(科研費関連):オーストラリア
  ・ジャパンエキスポ2001調査(科研費関連):現地調査とアンケート調査
  ・周辺自治体の地域計画および地域政策に関する調査研究
  ・瀬戸市の活性化と産業振興、および陶磁器産業に関する調査

2.シンポジウムの開催
  テーマ:地域を生かす博覧会 ― ジャパンエキスポ2001から愛知万博へ ―
   趣旨説明   小林 甲一
 第1部 : ジャパンエキスポ2001報告

       うつくしま未来博:大河原 薫 氏(うつくしま未来博協会総務部副部長)
       山口きらら博:河野 誠治 氏(21世紀未来博協会総務部企画調整課長)
       北九州博覧祭:吉田 茂人 氏(北九州博覧祭協会広報宣伝部長)

 第2部 : パネル・ディスカッション 「地域を生かす博覧会」
           大河原 薫 氏(うつくしま未来博協会総務部副部長)
           河野 誠治 氏(21世紀未来博協会総務部企画調整課長)
           吉田 茂人 氏(北九州博覧祭協会広報宣伝部長)
           中谷 光孝 氏(愛知県国際博推進局長)
           安井 俊夫 氏((財)2005年日本国際博覧会協会総長代理)
      司 会:木村 光伸
  日 時:2002年3月11日17:00〜20:00     場 所:名古屋ガーデンパレス

3.国外調査:オーストラリア
 *日 程:2001年9月2日〜9月9日
 *参加メンバー:木船 久雄  木村 光伸  十名 直喜  伊澤 俊泰
         大石 邦弘  李 秀K
 *調査訪問先:・ブリスベン博覧会跡地とブリスベン博覧会公社
        ・シドニー五輪跡地
        ・ニューサウスウェールズ州商工会議所
        ・ニューサウスウェールズ大学オリンピック研究センター  など

4.ジャパンエキスポ2001調査
 *会期中の現地調査
 ・うつくしま未来博(7月30日〜8月1日)
   博覧会会場、博覧会事務局、ボランティアセンター、会津NPOセンター
 ・山口きらら博(9月18日〜19日)
   博覧会会場、博覧会事務局、きららネット事務局、山口県庁
  ・北九州博覧祭(10月12日〜13日)
    博覧祭会場、博覧会事務局、ボランティアセンター、周辺の再開発地域
 *現地調査のポイント
  1)博覧会の概要(テーマと基本理念、期間、開催の経緯と趣旨)
  2)博覧会計画と関連事業(会場計画とアクセス、財政計画、関連事業と跡地利用)
  3)博覧会の企画・運営と市民参加
  4)期待された開催効果と実際の開催効果:開催中の現地調査からの全体的印象
 *ジャパンエキスポ2001開催効果アンケート調査
  ・実施期間:2002年2月下旬〜3月中旬     ・サンプル:約2,500件
  ・@協賛、出展した企業・団体、地域企業、A市町村・行政関連およびB参加した市    民・市民団体の3つに分けて、それぞれにアンケート票を作成し、調査した。

5.NGU EXPO2005 研究 第3号の刊行(2001年5月)
EXPO2005:地域の知恵

目  次
  巻頭言 : EXPO2005開催地に必要なもの
T.愛知万博検討会議の顛末 ― 会場問題から新しい万博を考える ―
U.EXPO2000とハノーバーの知恵
V.パネル・ディスカッション報告「EXPO2005:地域の知恵 ― ハノーバー博をこえて ― 」
W.瀬戸地域活性化アンケート結果報告
X.瀬戸市産業振興ビジョンに関する提言
Y.「地域保全の自立的形成の論理を求めて― 地域から地球環境保全の戦略的理念を構築するために ―
Z.2000年度活動報告

6.その他
 *対外活動
  ・EXPO2005計画および関連事業関するヒアリング
     (財)2005年日本国際博覧会協会      愛知県博覧会推進局
     中部経済産業局国際博覧会推進室     周辺市町村の博覧会担当部局
  ・ジャパンエキスポ2001関連
     うつくしま未来博・山口きらら博・北九州博覧祭の各博覧会協会事務局
  ・瀬戸市産業観光課
     おもに、(仮称)産業・市民センターの産業支援機能に関する政策提言
  ・多治見市企画課および農林商工課
     おもに、産業振興計画の策定、まちづくり政策、EXPO2005関連事業


 今後は、こうした研究成果を踏まえて、いっそう具体化するEXPO2005の事業計画がこの地域に及ぼす多様な効果についてこれまで以上に精力的な調査研究活動を展開していきたい。また、瀬戸市や周辺地域の活性化・産業振興に関わって積極的な社会活動・政策提言を展開しなければならない。最後に、2001年度も、関係各位に、とりわけ愛知県、瀬戸市および福島県には多大なご支援とご協力をいただいた。記して感謝申し上げたい。

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