2004年10月 8日更新

<研究部会ご案内>2004年10月 8日更新
メディア活用研究部会            
教育メディア研究部会             
小学校英語教育研究部会(次回は11月 6日)
外国語教育方法論研究部会 (次回は10月23日)

<研究部会の報告はこちら>
メディア活用研究部会 2004年 6月15日更新
教育メディア研究部会 2002年11月26日更新
小学校英語教育研究部会 2004年10月 8日更新
外国語教育方法論研究部会2004年 6月15日更新

外国語教育方法論研究部会 第13回例会(10月23日)

・日時:2004年10月23日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
 〒460-0008名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル7階
 TEL 052-242-5300
(名古屋市営地下鉄東山線、名城線「栄」下車)

・発表者・発表題目:
(1)
発表者:藤田 賢(三重県飯野高等学校/名古屋大学大学院院生)
発表題目:2つのcompensation modelから見た第二言語読解過程の考察
(2)
発表者:柳 善和(名古屋学院大学)
発表題目:フロー理論と言語学習理論の関係について

・研究会代表者:柳 善和(名古屋学院大学)
・問合せ先:e-mail:yanagi@ngu.ac.jp

<月例研究会報告>
小学校英語教育研究部会
・研究会代表者:高橋美由紀(兵庫教育大学)
・問合せ先:miyukit@soc.hyogo-u.ac.jp

小学校英語教育研究部会 第24回例会(9月11日)
・日時:2004年9月11日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)坂 光世(岐阜県羽島市小学校英語講師)「小学校英語活動における指導形態のあり方」
(2)清水万里子(岐阜県関市小学校英語講師、岐阜大学大学院院生)「担任教師の要望による5分間英語活動ワークショップの紹介」
(3)高橋美由紀(兵庫教育大学)「Slattery, M. & J. Willis(2001)English for Primary Teachers(Oxford University Press)について(2回目)」
 前回に続いて、この文献のUnit 4: Speaking with support、Unit 5: Speaking more freely、 を読み、意見を交換した。

小学校英語教育研究部会 第23回例会 2004/ 6/19
・日時:2004年6月19日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)三好幸世(岐阜県福岡町英語講師)「小学校での実践より−子供が夢中になったアクティヴィティの紹介」
(2)高橋美由紀(中部学院大学)Slattery, M. & J. Willis(2001)English for Primary Teachers(Oxford University Press)について。
 この文献のUnit 1: Teaching Young Learners, Unit 2: Listen and Do, Unit 3: Listen and Make を読み、意見を交換した。

小学校英語教育研究部会 第22回月例研究会 2004/ 4/24
・日時:2004年4月24日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)柴田里実(名古屋学院大学)「小学校教員の英語研修:瀬戸市小学校英語教育ワークシ
ョップでの実践」
(2)清水万里子(関市小学校英語講師、岐阜大学大学院院生)「岐阜県大垣東小学校での3学期の英語活動(2)アンケート調査結果」
(3)高橋美由紀(中部学院大学)「シンガポール華人の子供に対する言語教育の変遷」

小学校英語教育研究部会 第21回月例研究会 2004/ 3/27
・日時:2004年3月27日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)武田貴世子(愛知淑徳大学学生)「公立小学校での歌を取り入れた英語活動」
(2)三好幸世(岐阜県恵那市小学校英語講師)「岐阜県福岡町での小学校英語活動」
(3)清水万里子(関市小学校英語講師、岐阜大学大学院院生)岐阜県大垣市立大垣東小学校での3学期の英語活動(1)内容の紹介」

小学校英語教育研究部会 第20回月例研究会 2004/ 2/14
・日時:2004年2月14日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)坂 光世(羽島市小学校英語講師)「すぐに使えるワンポイントレッスン」
(2)柳 善和(名古屋学院大学)「アクションリサーチの展望(佐野正之(編著)『アクシ
ョンリサーチのすすめ:新しい英語授業研究』について」
(3)長友 潤(名古屋学院大学大学院生)「小学校英語活動におけるゲームの役割:アクションリサーチによる実践の分析」

小学校英語教育研究部会 第19回月例研究会 2003/12/23
・日時:2003年 12月23日(火) 午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)米田尚美(岐阜聖徳学園大学)「岐阜県大垣市立大垣東小学校での実践紹介」
(2)田中真奈美先生(サンフランシスコJBBP小学校)「米国の日本語教育事情@K-12」

小学校英語教育研究部会 第18回月例研究会 2003/10/14
日時: 2003年9月27日(土) 10:00-12:00
場所: 名古屋学院大学さかえサテライト

(1)発表者:三好幸世(岐阜県恵那市小学校英語講師)
発表題目:「小学校英語活動のヒントと実践例」
 三好先生には、実際に英語活動の現場で行われたアクティビティを3つ紹介していただきました。まず、低学年と中学年を対象とした体の部位を言語材料とした活動を紹介されました。また、中学年と高学年を対象とした「お手玉はこび」はunderやonなどの言語材料をうまく採り入れた楽しい活動でした。神経衰弱を英語活動にアレンジしたものは、一人一人が自然に英語を聞き、話すことができるアクティビティでした。

(2)発表者:坂光世(岐阜県羽島市小学校英語講師)
発表題目:「高学年に英語の歌を楽しく歌わせるコツ」
 坂先生は、高学年の児童に楽しく歌を歌わせるポイントをいくつか紹介していただきました。まず、なぜこれまで高学年での歌を扱った活動がうまくいかなかったのか、その原因を説明していただきました。そして、それぞれの原因に改善策を踏まえ実施され、その結果を報告していただきました。一般的に小学生は学年が上がるごとに歌を歌うことに抵抗を感じるようになるといわれますが、現場の教師にとって坂先生のポイントはとても参考になりました。

(3)発表者:長友潤(名古屋学院大学大学院生)
発表題目:「児童の興味・関心を考慮した英語活動」
 まず、児童の興味・関心を調査するためのアンケートから得られた傾向をもとに、英語活動の改善を考えていきました。この月例研究会に参加されている多くの現場の先生から、発表の後半において大変興味深いアドバイスをいただきました。さまざまな視点からの問題点を洗いざらいにすることにより、本研究領域をさらに深めることができました。

(4)発表者:清水万里子(関市小学校英語講師・岐阜大学大学院生)
発表題目:「International Exchange Project」
 清水先生には、日本の小学校と米国をはじめ多くの諸外国における小学校との交流をE-mailなどを通して行うInternational Exchange Projectの概要を報告していただきました。児童に英語活動に対するmotivationを与える手段としてアナログの国際交流からデジタルの国際交流に移行しつつある現状を知ることができました。シンガポール現地では高橋美由紀先生が提携する小学校を探していらっしゃるそうで、さまざまな問題を抱えつつも今後のプロジェクトがどう開発されるのか楽しみです。

小学校英語教育研究部会 第17回月例研究会 2003/7/19
・日時:2003年 7月19日(土) 午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表内容:
(1)三好幸世(岐阜県恵那市小学校英語講師)「授業で即役立つワンポイントレッスン」
(2)清水万里子(関市小学校英語講師・岐阜大学大学院生)「E-mail Exchange Project between Japan and the US among elementary children」
(3)米田尚美(岐阜聖徳学園大学)「総合的な学習の時間にふさわしい英語活動―活動あそび歌を通して行う自国文化との比較」

小学校英語教育研究部会 第16回月例研究会 2003/4/22
・日時:2003年 4月22日(土) 10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表内容:
(1)坂 光世(岐阜県羽島市小学校英語講師)「子どもが思わず引きつけられる小学校英語活動」
(2)長友潤(名古屋学院大学大学院生・瀬戸市西陵小学校英語講師)「公立小学校における英語活動の課題と展望」
(3)高橋美由紀(中部学院大学)「小学校英語活動における教材論」(その2)

小学校英語教育研究部会 第15回月例研究会 2003/3/22
日時:2003年3月22日(土)14:00−16:00
会場:名古屋学院大学さかえサテライト 第3講義室

(1)14:00−14:40
発表者:長友 潤(名古屋学院大学大学院生・瀬戸市立西陵小学校英語講師)
発表題目:「小学校英語活動の現場における課題と展望」

 今回は、1年間の公立小学校での英語活動の記録をもとに、担任教師や講師が抱える課題や改善すべき点を取り上げ、それぞれの観点から具体的な研究の示唆を行いました。とくに、研究課題を1)児童の実態、2)教師の役割、3)カリキュラム編成の3つに大きく分類を行い、それぞれの課題に何が改善されるべきかを話し合いました。実際に現場で英語活動に携わっていらっしゃる講師の方々には、具体的な事例や対策等を教えていただきました。現段階で、現場では何が起こっているのか、ということを自由な討論の場としてさまざまな意見を交換することができました。

(2)14:40−15:20
発表者:米田尚美先生(岐阜聖徳学園大学)
発表題目:「大学における小学校英語教員養成講座について」

 前回に引き続き、大学での小学校英語教員養成講座に関するお話しをしていただきました。講座には、外国語学部の学生に限らず、教育学部などの学生も必修または選択科目のひとつとして受講しているそうです。また、具体的な講義内容は、小学校英語活動を運営していく際に必要な指導法、歌やチャンツを中心的に行うそうです。また、学生自身が模擬授業を体験することにより、指導のあり方を体得できるということでした。学生が作り出す模擬授業は、とても創造性にあふれていて楽しい活動が展開されるとのことでした。現場におられる先生方にとっては、とても新鮮なアイデアにあふれていました。

(3)15:20−16:00
発表者:高橋美由紀先生(中部学院大学)
発表題目:「小学校英語活動における教材論」

 今回は、Paul(2003) Teaching English to Children in Asiaを中心に小学校英語活動における教材論についてお話していただきました。まず、日本における小学校英語活動はESL環境ではなく、EFL環境にあることを説明していただきました。そこで、とくにアジア圏における英語教育には、Teacher-centeredとChild-centeredの二つのレッスン形態があることをお話ししていただきました。これらは、双方にメリットとデメリットを持つため、一連のレッスンにおいてセッションごとに区別している教師がいることも説明していただきました。また、レッスンには欠かせないゲームの取り扱いについても具体例を出して説明していただきました。さらに、Teacher-centeredとChild-centeredに加え、Step-by-step(段階を踏むシラバス)とTopic-basedの組み合わせをうまくレッスンに取り入れることも教えていただきました。(文責:長友潤)

 小学校英語教育研究部会 第14回月例研究会 2003/ 1/25
日時:2003年1月25日(土) 14:30‐16:25
場所:名古屋学院大学さかえサテライト(第7講義室)

(1)
発表者:清水万里子先生(関市立瀬尻小学校・倉知小学校)
発表題目:「米国の小学校英語教育事情報告(その2)」

 前回に引き続き、米国の小学校における英語教育について、事情報告をしていただきました。公立小学校や私立小学校の訪問、また日本語ネイティブとしての言語指導経験を通して、日本の小学校英語教育に対する提言をしていただきました。さらに、訪問の本来の目的であったE-mail Exchange Projectの基礎作りについて報告していただきました。特に公立小学校における言語教育は、日本での英語教育にも展開できる部分が多いことが分かりました。また、E-mail Exchange Programについては、小学校卒業後でも任意においてメール交換の継続が可能であるという点から、中学への連携が図れるというメリットがあるということでした。まだ基礎作りの段階にもかかわらず、子どもたちは非常に興味・関心を抱いていることが分かりました。今後の経過が気になるところです。

(2)
発表者:坂 光世先生(岐阜県羽島市小学校英語講師)
発表題目:「小学校英語活動においてすぐに使えるワークショップ」

 小学校英語活動にて、すぐに活用できる活動例を紹介していただきました。「色を使ったアクティビィティー」として、低学年編、中学年編、高学年編に分けて参加型の発表をしていただきました。まず、低学年編では、「その色をにぎれゲーム」を体験しました。虹色をした棒を使ったゲーム感覚の楽しい活動でした。運動神経の良さ悪さがそのまま分かる活動でもありました。また、中学年編では「ジャンボじゃんけん」やカラーソングを紹介していただきました。高学年編では、縦三色で描く国旗や横三色で描く国旗を使って、世界地図を完成させるという、知的な活動を紹介していただきました。どれも、児童の年齢を考慮しており、大人でも十分に楽しめる活動でした。次回のアクティビティーが気になるところです。

(3)
発表者:高橋美由紀先生(中部学院大学)
発表題目:「小学校英語教育についての文献を読もう!」
(使用文献)
Cameron, L. (2002), Children learning a foreign language, in Teaching Languages to Young Learners. (Cambridge University Press)

 前回に引き続き、小学校英語教育に関する文献を解説をまじえながら、読んでいきました。今回の文献は、CameronのTeaching Languages to Young Learnersにある第1章Children learning a foreign languageの部分を読みました。ここでは、主にPiaget, Vygotsky, Brunerらの主張についてCameronの関心のある部分について概略を行いました。Piagetについては、子どもが"active learner"であるという点やassimilationとaccommodationとの比較・定義を行いました。また、Vygotskyの理論では特にThe zone of proximal development(発達の最近接領域)の概略と、Krashenの「i+1」を比較しました。さらに、the Critical Period Hypothesisに関連する事項と、一般的な4技能とは異なる子どもにおける外国語学習の分類について触れました。

参加記
 米国における言語教育事情を知ることや、明日の授業でそのまま展開できる楽しい活動を体験できたことに加え、理論的な文献を解説付きで読めました。また、今回とくに印象に残ったことは、小学校英語活動に携わっている先生方と、現在抱えている問題や課題について話し合うことができたということです。例えば、高学年になるにつれて、きれいな発音を躊躇するようになるというようなことは、些細なことではあるけれど、決して見逃せない状況であると感じました。このように、教師同士の意見交換や活動内容のシェア、共通の課題を話し合う機会が必要であると再認識しました。

外国語教育方法論研究部会
・研究会代表者:柳 善和(名古屋学院大学)
・問合せ先:yanagi@ngu.ac.jp

 外国語教育方法論研究部会第12回月例研究会2004/ 1/24
・日時:2004年1月24日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)柴田里実(名古屋学院大学大学院生)「日本人大学生の学習スタイルの変化:彼らは何を感じているのか」
(2)柳 善和(名古屋学院大学)「非母語話者教師の役割(Medgyes, P. (2001)"When the
Teacher Is a Non-native Speaker" in Celce-Murcia, M.(ed.)(2001)Teaching English as a Second or Foreign Language (3rd ed.)をテキストに日本人英語教師の役割について考えます)

 外国語教育方法論研究部会第11回月例研究会2003/12/13
・日時:2003年12月13日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)高島賢二(名古屋学院大学大学院生)「留学プログラムの評価方法の開発について」
(2)Jeff Verbeem(日本福祉大学)「Responding to students` written drafts with formative written feedback.」

 外国語教育方法論研究部会第10回月例研究会2003/10/25
・日時:2003年10月25日(土)午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:柳 善和(名古屋学院大学)「Task-based Approachの現状と展開」

 外国語教育方法論研究部会第9回月例研究会2003/ 9/13
・日時:2003年 9月13日(土) 午前10:00-12:00
・発表者:鈴木薫(愛知女子短期大学)
・発表題目:「e-learningを利用した英語リメディアル教育」

 鈴木薫先生(愛知女子短期大学)の「e-learningを利用した英語リメディアル教育」と題した発表では、メディア教育開発センターのプロジェクトの検証実験校として、鈴木先生が実際にこの数ヶ月学生たちに学習させたそのプロセスと結果が論じられた。
 今回取り上げたのは主に3つの教材のひとつである、Universal Voicesについてであった。8週間にわたって学生にやらせた結果はおおむね良好で、事後テストでもその効果が見られるというものであった。ただ、事後テストの結果がよかったということばかりでなく、このような集中学習を学生にやらせる際の様々なポイントや、問題などをあわせて説明していただき、今後各大学でこのような取り組みがなされる際の参考になった。
 なお、予定していた柳の発表(「The Natural Approachの残したもの」)は、時間の関係で次回に回すこととした。

 外国語教育方法論研究部会第8回月例研究会2003/4/12
・日時:2003年 7月26日(土) 午前10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者・発表題目:
(1)柴田里実(名古屋学院大学大学院生)「日本人の英語学習スタイル測定におけるPLSPの役割について」
(2)柳 善和(名古屋学院大学)「Collaborative Language Learningの展開」

 外国語教育方法論研究部会第7回月例研究会2003/4/12
・日時:2003年 4月12日(土) 10:00-12:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者:柳 善和(名古屋学院大学)
・発表題目:
(1)Multiple Intelligences
(2)Neurolinguistic Programming

Richards, J.C. & Rodgers, T.S.(2001)Approaches and Methods in Language Teaching(2nd ed.)(Cambridge University Press)の中から第10章"Multiple Intelligences"(pp.115-124)と第11章"Neurolinguistic Programming"(pp.125-131)を取り上げた。

 外国語教育方法論研究部会第6回月例研究会2003/ 3/ 1
・発表者:柳 善和(名古屋学院大学)
・発表題目:「Audioligualismの功罪:我々に何を残したのか」

 今回の発表で扱ったのは、Richards, J.C. & Rodgers, T.S.(2001)Approaches and Methods in Language Teaching(2nd ed.)(Cambridge University Press)の第4章"The Audiolingual Method"(pp.50-69)であった。
 まず、Audiolingualismの成立を米国の外国語教授法の歴史から説きおこし、第2次世界大戦中に実施されたASTPの説明を行った。その後、その時の成果をもとに、構造主義言語学と行動主義心理学を理論的な枠組みとしてAudiolingualismが普及していった経緯を説明した。
 Audiolingualismは、主に2つの要因によって衰退していく。一つはChomskyによる生成文法の提唱である。これによって、構造主義言語学が衰退し、それを理論的なよりどころにしていたAudiolingualismも衰退した。もう一つは、Audiolingualismのシラバスだけではコミュニケーション能力の養成には不十分であることが報告されるようになったからである。
 しかし、Audiolingualismが残したもとのとしては、外国語教育を実践する際の様々な技法の開発や、外国語教育を理解する視点として思い切った単純化を行い(仮説の提示)、それに従ったシラバスの開発を実行したことで、その後の外国語教育が発展するきっかけとなったことなど評価することも多いことを指摘した。
(文責:柳 善和)

 外国語教育方法論研究部会第5回月例研究会2003/ 1/18
・日時:2002年 1月18日(土) 14:00-16:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト
・発表者:柳 善和(名古屋学院大学)
・発表題目:「外国語教育におけるapproachとmethodの概念について」

 今回の発表では、Richards, J.C. & Rodgers, T.S.(2001)Approaches and Methods in Language Teaching(2nd ed.)(Cambridge University Press)の第2章"The nature of approaches and methods in language teaching"(pp.18-35)をもとにして、教授法の含む様々な要素について説明した。
 教授法に含まれる階層構造としてはAnthony(1963)の「Approach」「Method」「Technique」がよく知られているが、Richards and Rodgers (2001)では、「Approach」「Design」「Procedure」という用語を採用し、これらの要素が階層構造ではなく並列に存在しているとしている。
 発表の中では、教授法の具体例としてThe Silent WayとThe Community Language Learningの2つを取り上げ、一見して奇抜に見える教え方にも、教授法の重要な要素が含まれることを示した。
 話しが抽象的になってしまった部分もあり、次回のAudioligualismの章を扱うときにはもっとわかりやすくする必要があると感じた。
(文責:柳 善和)

*メディア活用研究部会
・研究会代表者:松本青也(愛知淑徳大学)
・問合せ先:seiyam@asu.aasa.ac.jp

 メディア活用研究部会 第18回月例研究会 2004/ 1/10

・日時:2004年1月10日(土)午前10:00〜12:00講演 / 午後1:00〜4:00 ワークショップ
・場所:愛知淑徳大学(長久手キャンパス)4号棟マルチメディアラボ(432教室)
・講師:名古屋外国語大学助教授 原田邦彦先生
・講演題目:「ブログ?ポータルサイト?CMS?語学授業での活用法」
 名古屋外国語大学の原田邦彦先生をお招きし、「ブログ?ポータルサイト?CMS? 語学授業での活用方法」についてお話していただきました。
 午前中の講演では、まず、授業管理や運営におけるCourse Management System(CMS)の重要性に触れられ、アメリカの大学がどの程度CMSを導入しているか、どのCMSを使用しているかなどを紹介された後、世界のオンライン教育市場の大手BlackboardとWebcatを語学教育の視点から比較し、オープンソースによるCMSの活用方法について教えていただきました。
 午後のワークショップは、アットホームな雰囲気の中で行われました。先生自らがイーサーポート付きのノートパソコンを用意して下さり、参加者がオープンソースによるCMS(Xoops)にユーザーとしてログインし、学生たちが作成したInternet TV Projectにコメントを書いたり、簡単なアンケート作成の後に、クロス集計を行ったり、ブログによる
投稿を実際に体験することができました。
 先生の授業への実践例や活用方法としては、アメリカの人種差別のビデオを見せた後、学生たちにブログによる投稿をさせ、他の学生の投稿を読んでは、書き込みをさせるといった活動をしたり、3000人の学生に対して、CMSを使用した授業アンケートを実施したりされているということでした。
 先生のわかりやすい説明やご指導のおかげで、CMSの有効性や実用性について学び、最先端の情報に触れる機会を持つことができました。「革命に生き残るためには、教員の認識が大切であり、教員はイ二シアティブを持たなければならない。」「誰も教えてくれないからできないという時代ではない。」とおっしゃっていた先生の言葉を十分に受け止めながら、今後もメディアについて学んでいくことの重要性を痛感しました(文責:北村まゆみ 愛知淑徳大学大学院生)。

 メディア活用研究部会 第17回月例研究会 2003/10/17
・日時:2003年10月18日(土)午前10:00〜12:00
・場所:愛知淑徳大学(長久手キャンパス)4号棟マルチメディアラボ(432教室)
・講師:名古屋市立名東高等学校英語科教諭 酒井亘文先生
・講演テーマ:「インターネット利用の交流授業の実践:トラブル解決が教科書に」
 名古屋市立名東高等学校教諭 酒井先生をお招きして 「インターネットと英語教育」について、インターネット利用の交流授業の実践報告を元に講演していただきました。酒井先生は前任校であった西陵商業高等学校で文部科学省の「100校プロジェクト」の指定を受けたことがきっかけで1995年よりインターネットを利用した英語教育に全くのゼロからのスタートで取り組まれた事をまず初めにうかがいました。
 日々、試行錯誤を重ねながら授業に取り組まれ、その当時、今では当たり前となっている事や手作業で行った方がむしろよいとされる事にコンピュータを利用したり、やっと見つけた海外の提携校とこちらとの交流が思ったようには長く続かなかったこともあったというお話もして下さいました。
 講演の中でお話しいただいた実践報告の中で「身の回りにある日本の再発見」の授業での生徒さんの反応がとても印象的でした。先生のこの授業ではお寿司、相撲といったステレオタイプ的な日本文化以外の題材で日本を紹介します。実際には箸置き、下駄箱、歩道にあり信号が変わるまでの時間測定器など、生徒が撮影した写真を利用し、海外の交流校にクイズ形式で問題を出し、交流校からの様々な反応に対し、英語が苦手な生徒も積極的に授業に参加するようになったお話はとても興味が持てました。写真の撮影方法やその説明文の組み立てなどに関しても、相手に正確に伝えるということはどういうことなのか、こちらが当然だと思うことが異文化で通用しないことを前提にしていく必要があるといったことを生徒自ら認識することができる授業はまさに異文化とは何かを発見する授業であり、我々教員が展開していかなければならない授業の姿であるように思います。
 講演の後半では、先生の現在の勤務校である、名東高校でのお話をうかがいました。受験ベースの環境で、且つ、テスト範囲やその他時間的制約のある中で、ライティングや時事英語の授業で新聞作りや、自己紹介、日本文化クイズなどでインターネットを利用し、実際に海外の高校生からの返事に生徒達の反応も大変良いとのお話をうかがいました。
 今後の課題として、英語教員が持っている様々な授業のアイディアを具体化するにあたってはコンピュータに詳しい英語教員と英語に詳しいエンジニアとが共同で作業できることが理想ではありますが、その一方で、英語教員はあくまでも英語教育に集中できるよう、英語教員をバックアップするシステム作りの重要性、早急性があげられました(文責:磯村香里 愛知淑徳高等学校)。


 メディア活用研究部会 第16回月例研究会 2003/ 7/26
・日時:2003年7月26日(土)
 講演:午前10:00〜12:00 / ワークショップ:午後1:00〜4:00
・場所:愛知淑徳大学(長久手キャンパス)
    4号棟マルチメディアラボ(432教室)
・講師:名古屋市立大曽根中学教諭 水野修司先生

・講演テーマ:「中学校現場でのインターネット使用状況について」
・ ワークショップテーマ:「マルチメディアを取り入れた英語科授業の指導案を作りましょう」

今年度第1回の外国語教育メディア月例研究会が愛知淑徳大学で開催されました。今回は、メディアを活用し、先進的な授業で高い評価を受けている名古屋市立大曽根中学校の水野修司先生を講師に迎えインターネット活用の現状と水野先生が授業で実践されている内容についてお話し頂きました。
 午前中の部(10:00〜12:00)は40人ほどの参加者があり、今旬であるインターネット活用の現状についての関心の高さがうかがえました。まず、文部科学省が推進している内容を分かり易くパワーポイントを使って説明されて、2005年までの目標が図で説明されました。先生の勤務されている中学校では光ファイバーでインターネットの回線がつながれ、総合的な学習の時間や技術科の時間は積極的にインターネットを利用した授業が行われているようですが、問題として挙げられたのが、コンピュータの台数不足と教師自身の技術面ということでした。コンピュータの台数不足は近い未来に解消されると予測できますが、教師の技術面ではかなり時間を要することでしょう。一般的インターネット上での問題として、"なりすまし"のような問題が起きていることもあげられ、ネチケットに関しても生徒さんたちに指導されているということでした。実際の水野先生の英語の授業はというと、インターネットを駆使して、海外の生徒とテレビ会議、チャット、メール交換などで生きたコミュニケーションをしたり、教科書の題材に関連した資料の収集に役立てているようです。その中で一番興味深かったのが、オーストラリアの学校の生徒たちとの交流でした。インターネットを通して行われたコミュニケーションが進んで、実際にオーストラリアの生徒たちと会うことまで実現したということでした。インターネット上の関わりだけでなく、現実に目の前で異文化の人たちと触れ合うことが出来たというお話は感動的でした。もちろんインターネットだけの交流に偏るのではなく、郵便での文通もされているということでした。
 午後の部(1:00〜4:00)では、午前中の先生の実体験を基に、英語の授業のモデルプランを作成してその中にインターネットをどのように活用するのかというワークショップでした。2人1つのグループを作り、実際の教科書を使って授業のプランを考えました。授業プランを考える中で、今の中学生の興味はどんな所にあるのか?とか、どの位の英語を使用してインターネットを活用したらよいか?とか、詳しく分からない点を水野先生に個人的に聞く時間もあり、授業プランを立てる難しさ・楽しさが味わえました。その後、それぞれ考えたプランを発表し合い、個々のグループの個性があふれた発表になりました。それらのアイディアは、私達が実際教壇で教えるようになった時には大いに役立つ情報になることでしょう。
 今日の水野先生の講演は今現在教壇に立って教えられている先生だからこそ分かる現状の課題・問題点を実際の経験からお話されていて、とても興味深く感じました。そして、インターネットを活用しながら、ご自身でも日々勉強されているといった姿勢には、感動いたしました。これからのインターネット普及のなかで、教師が様々な機器をどのように使って指導していくかが問われていくことでしょう。
(文責:重藤智美 愛知淑徳大学大学院生)

 メディア活用研究部会 第15回月例研究会 2003/ 2/ 1
・日時:2003年2月1日(土)午後1:00〜5:30
・場所:愛知淑徳大学(星が丘キャンパス)記念会堂
・テーマ:A World of Englishes―International English in Education, Media and Society―
・発表者:
 Kingsley Bolton (University of Hong Kong)
 Paroo Nihalani (Chukyo University)
 Prisca Molotsi (Nanzan University/Kinjo University)
 Linda Taki (Chubu Philippine Friendship Association)

 当日は幸い天候にも恵まれ、総勢50人以上の先生方や諸大学の学生が参加するという、活気溢れる会となりました。プレゼンターとして、各国の英語事情に詳しい著名な先生方(フィリピン、シンガポール、南アメリカ、香港)が、それぞれ1時間ずつ講演されました。講演では、各国の言語政策に関する現状や、人々の母語や英語に対する意識、英語をどう生活の中で取り入れているのか、というお話から、英語をその国で使用するようになった歴史的背景や経緯の詳細までお話いただき、今まで知らなかったそれぞれの国の事情や政策を学ぶことができました。その中でも私が特に興味を持ったのは、Prof. Molotsi の、先生自身が経験された母国南アフリカのかつての英語教育です。先生は、英語を話すことにエリート意識をもったり、母語を恥ずかしく思った過去の反省を元に、これからの自分達は、南アフリカに現在ある、英語を含めた11の公用語を守り、後世に残していかなくてはならないし、何よりも『言語に優劣は無い』という意識を国民がしっかりと持つことが大切である、と話されました。
 私にとってこの会に参加したことは、各国の英語に対する意識や必要性を学び、同時に日本における英語のあるべき姿を考えるきっかけとなりました。今回のWorld Englishes に関する4カ国の例は、日本の現状とはそれぞれ異なる部分も多くありますが、それぞれの背景や政策、そして人々の意識を学びながら、これからの日本がどのように英語を受け入れ、位置づけていくのかを真剣に考えていかなくてはならないと再認識しました。
(文責:野口朋香 愛知淑徳大学非常勤講師)

 メディア活用研究部会 第14回月例研究会 2003/ 1/11
・日時:2003年1月11日(土)午前10:00〜12:00
・場所:愛知淑徳大学(長久手キャンパス)
  4号棟マルチメディアラボ(432教室)
・講師:名古屋大学教育学部附属中・高等学校 仲田恵子先生
・講演題目:「英語と総合学習のクロスカリキュラム―メディアを活用した発信型プロジェクト―メールとWebで発信する英語の課題授業(中学2〜3年生)」

「英語と総合学習のクロスカリキュラム―メディアを活用した発信型プロジェクト―メールとWebで発信する英語の課題授業」と題して名古屋大学附属中・高等学校より仲田恵子先生をお招きしてご講演いただきました。名大付属中・高のカリキュラム「総合的学習」の中に特設された「総合人間科」を英語教育や情報メディア教育とどのように関連させながら授業を展開されているのか、各学年での具体的な実践例をお聞きする事ができました。
 名大付属中・高等学校では各学年にそれぞれ一つ「総合人間科」にふさわしい内容のテーマが決められ、そのテーマに関して各国の学校と共同でe-mail, WWWを用いて研究活動、相互交流を行っているとのことでした。その過程で、英語を用いたコミュニケーション活動、国際交流に対する理解の向上、コンピュータやネットワーク利用に関する学習、テーマそのものに対する理解を深めることが総合的に行われていたことがとても印象的でした。その1例として、中学3年生と高校2年生の「総合人間科」のテーマである「国際交流と平和」に関連したインターネットによる共同研究Peace on the Wings―Peace Education Class Newsletter Exchange Project―では、修学旅行先での(中学生が広島、高校生が沖縄)平和、人権、国際理解についてのフィールドワークを行い、また共同研究プロジェクトのサイトを通じて海外の学校とe-mailなどを用いて英語で交流し、また平和教育や国際理解教育についての情報交換、活動報告を行っていました。
 どのプロジェクトにおいても仲田先生は生徒自身が一つ一つのテーマについて深く考え、生徒が自らの意見をはっきりと表すことを必要とする場面を授業の中で自然な形で展開しておられました。伝えたい事があるという事がその結果として英語力の向上にもつながるという事を先生のお話で改めて強く感じました。
 仲田先生の講演をお聞きして、先生の前任校で私の母校でもある愛知淑徳中・高等学校で仲田先生の授業を毎時間、クラスメイトと「今日も仲田先生のきれいな英語が生で聞ける。今日はどんな授業なんだろう。」と胸をワクワクさせて楽しみにして受けていた頃を懐かしく思い出していました。仲田先生はクラスの皆が大好きなあこがれの先生でした。その裏側には仲田先生の生徒に対する強い情熱、常に向上心を持ち新しい事に挑戦していらっしゃる姿、授業に対する計画性と徹底した前準備があることを先生のお話の中で強く感じました。仲田先生のそういったお姿をお手本にして私自身も授業を行っていきたいと思いました。あっという間の2時間でその後も参加者からの意見交換、質問等で話はつきませんでした。
(文責:磯村香里:愛知淑徳高等学校非常勤講師)

 メディア活用研究部会 13回月例研究会 2002/11/23

・日時:2002年11月9日(土):午前講演、午後ワークショップ
・場所:愛知淑徳大学4号棟マルチメディアラボ
・講師:名古屋大学教育学部附属中・高等学校 木下雅仁先生
・講演題目:「Photo Languageの実践を通した導入期の自己表現活動」

 午前中の講演では、中学1年の導入期に行った "Photo Language"の実践について、その理念を含めてお話し下さいました。生徒たちが自分のお気に入りの写真について「5行英作文」を行い、お互いに発表し合った上でそれをウェブ・ページに掲載して発信するというもので、動機付けや自己表現活動として極めて有効な試みであることが納得できました。当日は大学の先生から愛知淑徳大や南山大の学生まで多様な参会者でしたが、後半は木下先生を囲んで活発に質疑応答が行われ、充実したひと時を過ごすことができました。
 午後のワークショップでは、発売されたばかりの「ホームページ・ビルダー7」の体験版を使って、ウェブ・ページの作成にチャレンジしました。今回のバージョンアップでこのソフトがとても簡単で使いやすくなったらしく、木下先生の手際よいご指導もあって、瞬く間にページが完成し、ウェブ・ページの作成は難しく面倒なものという今までの先入観が見事に覆された感じがしました。今回のような機会を作って下さった先生方にとても感謝しています。(野口朋香:愛知淑徳大学非常勤講師)

 小学校英語教育研究部会 第13回月例研究会 2002/12/ 4
・日時:2002年11月30日(土) 14:00-16:00
・場所:名古屋学院大学さかえサテライト

1.「米国の小学校英語教育事情報告」
      清水万里子(関市立瀬尻小学校・倉知小学校)
 今回は、清水先生が米国での英語教育(国語教育)の現場を調査された事情報告をしていただきました。米国の小学校には必ずある絵本や、絵本を使ったWhole Languageの授業形態などを紹介していただきました。また、サンフランシスコ内の私立学校での状況、特にコンピュータ設備、言語障害児に対する対応などについてお話ししていただきました。さらに、清水先生オススメの教材専門店(米国)を教えていただきました。ぜひ、一度訪ねてみたいと思いました。

2.「小学校英語活動の中でのTotal Physical Response(TPR)の利用」
          長友 潤 (名古屋学院大学大学院生)
 これまでは、先生方の発表を聞きながら多くのことを学んできました。今回は、私自身が先生方の前で発表の機会をいただきました。小学校英語教育というテーマでしたので、特にTPRという教授法について事例研究をもとにお話しさせていただきました。リスニング指導の効果や長期記憶への促進、身体を動かすことに抵抗を感じない子どもの特性などについて、実際の活動例を出しながら紹介していきました。

3.「小学校英語教育についての文献を読もう!その3:フォニックスとWhole Languageの利点と問題点」
           高橋美由紀(中部学院大学)
 前回に引き続き、小学校英語教育に関する文献、Ediger, A. (2001)"Teaching Children Literacy Skills in a Second Language," を各要点に絞って説明していただきました。今回は、特に「The Phonics/ Whole Language Debate」ということで、それぞれの利点と問題点と取り上げられました。また、この文献のまとめとして学習者のリーディング活動がテキスト、読者自身、コンテキストの3つが関与していることも挙げられました。そのため、教師はあらゆるアプローチを要求されると説明していただきました。次回は、児童を対象とした言語教育関連の文献を紹介していただきます。

4.感想
 小学校英語教育を語るとき、どうしても日本の教育現場に目を向けてばかりでしたが、今回の清水先生の事情報告から、米国での言語教育について知ることができました。さまざまな言語教育現場で扱われている教材や授業形態を知ることで、今後の活動を改善するのにとても良い機会でした。また、英語教育関連の文献を一人で読むのは根気を要しますが、少しずつ先生が解釈を交えながら、みんなで読んでいく作業は学生の私にとって有意義な時間です。理論的な側面だけではなく、実際の活動例なども挙げられるので分かりやすいです。さらに、今回は自分自身が発表することで、色々な教育現場で教授されている先生方からのフィードバックが得られたので勉強になりました。
(文責:長友 潤 名古屋学院大学大学院生)


 小学校英語教育研究部会 第12回月例研究会 2002/10/28
日時:2002年10月5日(土) 14:00‐16:00
場所:名古屋学院大学さかえサテライト

1.坂 光世先生 (岐阜県羽島市小学校英語講師)
「英語活動ですぐに役立つ実践」ワンポイントレッスン
 はじめに、現在正木小学校においてどのような形態で、内容の英語活動をしていらっしゃるのか、説明していただきました。それから、レッスンアイデアとして三つの活動を教えていただきました。1番目として、London Bridge の歌に合わせた振付けを教えていただきました。通常、この歌は複数の児童が輪になって行う活動です。今回は、一度に大人数の児童を教える時に、二人でペアになって行う振付けをする方法を伝授していただきました。一度に大人数の児童が動くとまとめるのが難しいそうで、そういった場合の対策だそうです。2番目には、I can seeの歌とその振付けを教えていただきました。この歌は、Brown bear, Brown bear, What do you see?の曲と同時に関連づけて導入するものだそうです。繰り返しが多い歌詞になっているので、子どもには楽しい活動になるのではないかとおっしゃっていました。最後の3番目には、絵本のDraw Me a Starにちなんで、福笑いゲームを紹介していただきました。どれも、子どもにうけそうで、一緒に教師も楽しめそうな活動ばかりを紹介していただきました。

2.高橋美由紀先生 (中部学院大学)
「小学校英語教育についての文献を読もう!その2:小学校英語教育における文字導入について」
 前回の発表に引き続き、小学校英語教育に関する理論的な内容を、文献を通して教えていただきました。扱った文献は、Ediger, A. (2001) "Teaching Children Literacy Skills in a Second Language," です。特に、今回の発表ではリテラシースキルという点に注目して、指導法の標準化やリーディングの重要性、そしてそれらに関わる教授法(アプローチ)について説明していただきました。はじめに、リーディング能力が他の三技能(Oral skills, Writing, Speaking)にどのように関係しているのかを考えていきました。特に、リーディングの個人差というのは、言語能力だけではなく、目的やアイデンティティなどの要素でさまざまな解釈が可能になるという点を挙げられました。そして、実際にどのようなスキルをもって、リーディングという過程が位置づけられているのか説明がありました。さらに、L1やL2にみられるOral skillsの相違点や、L1における文字の知識がL2にどのような影響を与えているのかという点も挙げられました。また、今回の発表のポイントとして、リーディングやライティングの指導法として、Part-Centered MethodsとSocio-Psycholinguistic Approaches を教えていただきました。なかでも、フォニックスの指導法とLanguage Experience Approach について説明していただきました。今回は、それぞれの利点を具体的に挙げていきましたが、次回の発表では問題点についても指摘していただけるようです。

3. 米田尚美先生 (岐阜聖徳学園大学)
「大学における小学校英語教育教員養成の実践」
 まず、岐阜聖徳学園大学にて「小学校英語教育」がどのように位置づけられているのか、説明していただきました。とくに、受講者がどの学部に所属していて、一クラスあたり何名の受講者がいるのかという点をあげられました。さらに、授業内容として、どんなテキストを使用していて、題材は何か、授業形態などについても紹介していただきました。授業は、前期と後期を通して、関連づいた内容を一貫して教えていらっしゃるそうです。ようやく前期を終えたところで、半期の授業がどうであったか、というようなことも話していただきました。まず、模擬授業の成果として、学習効果が上がったという結果を挙げられました。これは、オートノミー(学生の自律学習促進)と深く関わっていると主張されました。さらに、生徒のアンケート結果にも、模擬授業が楽しかったというような感想が挙げられていたそうです。逆に、学生の英語力がないという点についてもあげられていました。しかし、教育
学部の学生は比較的、子どもが喜びそうな創意工夫のある活動をしていたそうです。また、民間学校などで習ってきた学生の英語力は他の学生に比べて高いとおっしゃっておりました。この模擬授業を通して、仲間とアイデアをシェアする習慣を実体験で学んだのではないか、と説明されました。このことは、将来教師の道を進む学生にとって、とても有益な姿勢ではないかと言われました。最後に、実際の学生による模擬授業をビデオに撮ったものを見せていただきました。どれもオリジナルな活動で、なかにはハッと驚くものもあり、楽しみながら教えているという印象を受けました。

参加者の感想
 坂先生の発表では、実際のクラスルーム活動で明日使えるものばかりを厳選して、紹介していただきました。本などを研究して、適切な活動を探すのも手です。しかし、もう既に先生がクラスで扱ってきて、子どもに受け入れられた活動をシェアしていただけるので、私にとっても耳よりな情報でした。高橋先生の理論編では、さまざまなところで良いと言われる教授法を、良い面と悪い面の両極からみていきました。ただ、良いから実践するのではなく、どの点で優れているのか説明していただけるので、勉強になりました。また、米田先生の発表では、これから教師になっていく大学生さんが、どのような講義を受けているのか、という現状を教えていただきました。実際の模擬授業をしている風景をみたりして、とても楽しい講義だなと感じました。今回は、「小学校英語教育」というテーマを、小学校の先生からと大学の先生の視点から考えることができたのではないか、と思います。 
(文責:長友 潤 名古屋学院大学大学院生)

 外国語教育方法論研究部会第4回月例研究会2002/11/15
・日時:2002年11月 9日(土) 14:00-16:00
・発表者・発表内容:
(1)
・発表者:柴田里実(名古屋学院大学大学院生)
・発表題目:「民間英会話学校における自律的な学習者養成の意義について」

(2)
・発表者:高島賢二(名古屋学院大学院生)・柳善和(名古屋学院大学)
・発表題目:「アジアこども教育センター(タイ)での活動と国際理解教育への示唆」

 最初に発表した柴田里実氏は「民間英会話学校における自律的な学習者養成の意義について」というタイトルで、民間英会話学校での指導法について実際の体験をもとにして発表した。その中で、公立学校での英語教育との違いを述べ、民間英会話学校でいかに学習者のmotivationを維持しているかを、具体的な事例をもとにして説明した。次のレッスンに学習者を参加させるには、1時間ごとの授業で学習者にmotivationを維持する努力をしなくてはならない、という指摘は、英語教育に従事するすべての人に対して重要なものであると考える。
 2番目に発表した高島賢二氏は、「アジアこども教育センター(タイ)での活動と国際理解教育への示唆」というタイトルで、タイにおける「アジア子供教育センター(ACEC)」の活動を紹介し、その施設が位置しているタイ東北部の地域の現状などをまとめた。そこに日本の経済進出が関わっている事実などは、日本人として当然知っておくべきことであろう。さらにこの発表で注目されたのは、このような施設で日本人の子供達がタイの子供達と共同生活をするプロジェクトである。異文化理解が単なる知識の理解で終わってしまうのではなく、実際にそれを経験することによって内面の変化を促す可能性は、今後の教育のひとつの形を示唆しているとも考えられる(文責:柳 善和 名古屋学院大学)。

 外国語教育方法論研究部会第3回月例研究会 2002/10/28

・日時:2002年10月12日(土) 14:00-16:00
・発表者:柳 善和(名古屋学院大学)
・発表題目:「「教授法」という考え方:教授法を構成するものは何か」

・発表内容:
 当日の発表では、「教授法」という概念について、Richards, J.C. & Rodgers, T.S.(2001)Approaches and Methods in Language Teaching(2nd ed.)(Cambridge University Press)の第1章"A brief history of language teaching,"(pp.3-17)をもとにして発表した。
 まず、教授法の歴史について、ラテン語教育に源を発するヨーロッパの外国語教育がどのように現在の形態を取るに至ったかを説明した。ラテン語が事実上の共通語として使われていたときには、ラテン語教育も言語教育として意味を持っていたが、その後ラテン語が徐々に衰退していくにつれて、ラテン語教育がそれ自体を目的としたものに変質していった経緯を説明した。そのために、現代外国語(modern languages)の教育がカリキュラムに導入されても、教授法としてラテン語教育の伝統が根強く残り、コミュニケーションを目指した外国語教育の導入
が遅れた点も指摘された。
 日本の英語教育についても、以上のような観点から質問、意見等が多く出された。現代語である英語を科目として導入しながら、その教授法は古典語のものが残っている状況をどのように説明したらいいか、などの議論があった。
 なお、第2章"The nature of approaches and methods in language teacning,"(pp.18-36)については、時間の関係から、教授法の枠組みに関しては単に触れただけで終わった。これは次々回の研究会で取り上げたい。
(文責:柳 善和 名古屋学院大学)

 教育メディア研究部会第6回月例研究会 2002/11/16
・日時:2002年11月 16日(土) 13:30-15:30
・場所:愛知大学豊橋校舎4号館情報処理センター2F 423 コンピュータ教室
・発表者:影戸 誠(日本福祉大学メデイア教育センター助教授)
・テーマ:「インターネットと国際交流--- ネットワークの中の英語教育---」

・内 容:
インターネットをフルに活用して、タイ、インドネシア、マーレーシア、韓国などとの国際交流の実践、およびそれらの国々の高校生、大学生との情報・文化交流のジョイント・プレゼンテーションの貴重な体験の様子を紹介して下さいました。また、プレゼンテ−ションの持つ意味、その構成の方法、効果などについても、詳しく、講演して下さいました。豊かな魅力ある内容のお話でした。動画や、音声入りの画像など、あらゆるメデイアを駆使し、インパクトのあるフレンドリー・プレゼンテ−ションの模範を先生みずから展開して下さいました。参会者の感想をご披露致します。 
(文責:平尾節子 愛知大学)

感 想:
今日はインターネットのよい点を見た。他の国々の英語教育の状況や学生たちの様子も見、ネットの便利さ、すごさを改めて思い知った。そして、今日はプレゼンテ−ションとは何か、について多くを学んだ。インターネットの利用によって、学生が自ら考え、行動ができ、主体となることができる。写真よりも動画の方が学生に伝わるものが多い。プレゼンテ−ション指導で大切なことは、オーデイエンスとのコラボレーション、スキット、インタビュー、アイコンタクト。最も大切なことは、何が相手に残せたか。自分の言葉でシンプルな表現をする。より力がこもる。プレゼンテ−ションによって達成感、充実感、幸福感が得られる。様々な国の生徒のプレゼンテ−ションを見て、どの国の生徒も、楽しそうに自信を持ってやっているところがとても印象深かった。今回の講演で、インターネットの利用の重要性がよくわかった。自分のプレゼンテ−ションの反省すべき点、改善点なども、知ることができたし、人間の視覚に訴えることの強さも知った。これからの教育においてより多くインターネット活用をしたいと思った。今日は映像を楽しむことができ、充実した時を過ごすことができた。すごくためになった。
(文責:吉澤菜美子 愛知大学英文科)

 教育メディア研究部会第5回月例研究会 2002/10/28
・日時:2002年10月 26日(土) 13:30-15:30
・場所:愛知大学豊橋校舎4 号館情報処理センター2F 423 コンピュータ教室
・参加者:32 名

1.発表者:日比 孝志(愛知県立三谷水産高等学校教頭・
           前愛知県総合教育センター研究指導主事)
2.テーマ:「高等学校における情報教育の現状と展望」

 高等学校における教科「情報」には、「情報 A」「情報 B」「情報 C」の科目があり、その内容は、コンピュータを、効果的に活用する方法について科学的に理解すること、一方的な授業のあり方ではなく、生徒の主体性を重視してWeb学習・実習をすること、一人ひとりの考える力を養うこと、豊かな心を育むことであると、強調されました。教科「情報」の 3つの視点を挙げられました。
(1) 情報活用の実践力
(2) 情報の科学的な理解
(3) 情報社会に参画する態度
説得力のあるプレセンテーションができるよう表現力を養成すること、インターネットの機能や情報処理などについて理解を深めるとともに、「情報モラル」の重要性について指摘されました。

 次に、愛知県における情報教育の現状と問題点について率直に説明して下さいました。愛知県総合教育センターにおける情報に関する研究内容は評価できるが、県予算の関係もあり、約 200 校ある愛知県内の 高等学校における情報教育活動の実践例が少ない。「特色ある学校づくり」の一環として国際交流ネットワーク活動の展開が望まれる。小学校では「総合的な学習の時間」で、コンピュタを活用して、単なる「調べ学習」から「交流学習」へと発展させることが期待される。学校単位や部活動単位でホームページ作成も進んでいるが、グローバル・ネットワークとして英語版作成が望まれる。情報の評価方法のあり方について、また、情報教育に係わる教員養成も課題の一つであると、先生の情熱が溢れる、示唆に富んだ講演でした。活発な質議応答もあり、有意義な例会でした。

<参加者の感想>
 愛知県は情報教育が遅れているなど、問題点はあるようですが、どんどん積極的に進めていくべきだと感じました。また、情報教員は、数学・理科・家庭科の免許取得者に限ると、聞いて、驚きました。これからの教育は、生徒自身が目的、関心を持って発見学習をしなければならない。その手段の 1つとしてインターネット は効果的であり、また、交流学習の輪を広げ、国際的に豊かな人間性を育成するためにも、コンピュータの導入は不可欠
であると思います。今日は、情報教育について実際の現場からのお話が聞けて、大変参考になり、良かったと思いました。
(文責:岡 美里 人間環境大学)

表紙のページへ