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図書館司書一年目で感じたこと





樋口優子(ひぐち ゆうこ)


[図書館司書・学術情報サービス係]



 昨年の四月より、私は縁あって本学の図書館で働くこととなった。名古屋学院大学とも、図書館司書という仕事とも初対面である。

 私の担当は学術情報サービス係ということで、経験ゼロの私ではあったが、図書館勤務初日より恐れ多くもメインカウンターに座ることとなった。カウンターに座ってしまえば新人だろうがベテランだろうが、やはり学生の目には他の図書館員と同じように映ってしまうようで、いろいろなことを聞かれるのだが、最初の頃は何に対しても十分に答えられない。そんな状況が私にとってはとてももどかしく感じられ、参考図書室や書架をうろうろして資料の名前や配置を一度に暗記してしまおうと無茶をしてみたり、先輩方と利用者とのやりとりに耳をすまし、自分も見よう見まねで対応しようとしたりと、どうしたら追いつけるのかただがむしゃらにその方法を模索していた。

 そんなふうにして私の図書館員一年生は始まったわけだが、いつでも問題は盛りだくさん、かなり険しい道のりである。まず、レファレンスへの対応。私たちカウンター担当図書館員にとって最も重要な仕事がレファレンスであると同時に、私にとっては最も頭をひねる難しい仕事であるともいえる。

 何か事を起こそうとするとき、私は今までずっと何らかのマニュアルを有効活用するのが最も効率的な方法であると思っていた。そのため、当初はレファレンスにもそれなりのレファレンスマニュアルがあると思い、そればかりを求めていたように思う。だが、そのようなものはいつまでたっても見つからない。確かにレファレンスに対応するための攻略方法等はあるが、それには完全なマニュアルがあるわけではなく、各々の図書館員が持ち合わせている知識を有効活用し、自分なりの方法で対応していくもののようだ。図書館には図書館員の武器となるレファレンスツールがいたるところに非常にたくさん備わっている。それらをいかにして上手く活用し、自分のものとしていくかだ。私のような未熟者のレファレンスに対する武器、知識の乏しさには悲しいものがある。こればかりは経験がものを言う。それについては嘆いてもしようがない。

 そして学生への対応。これがまた新人の私にとって悩みの一つとなっている。日頃カウンター内で仕事をしていると自然と学生の姿が目に入ってくる。携帯電話を横に携えながら会話にふける学生がいる、と思えば、参考図書室でしっかりと分厚い文献目録を自由に使いこなし、黙々と勉強に励む学生もいる。同じ大学の学生であるのに、実に様々な学生がいるものである。このような学生達との対応を毎日こなしていくのは骨が折れる仕事である。

 また、図書館では学生を対象にガイダンスを実施している。私も図書館で働き始めて間もなく、このガイダンスを担当することとなった。そこで私は、まず彼らの無関心さが意外であった。そして学生の図書館ばなれを実感した。彼らの大半は全く図書館には興味がありませんといった様子である。何を説明してもそれはこちら側の自己満足の世界。ふと、図書館に足を踏み入れることなく卒業していく学生は意外と多いのではないかという考えがよぎった。そう考えると図書館と利用者が出会うチャンスをもっと大事にしていかなくてはならない。なにも図書館を利用することを期待して入学してくる人はいないだろう。そうなると何か付加価値がないと単なる本の貯蔵庫という印象のままで終わってしまう。それではあまりに悲しい。

 時代は変わる。学生も変わる。図書館員も時代の波に乗り、アンテナを磨き知恵を絞っていかなくてはならないだろう。図書館司書という仕事は、カウンターの番人ではなく、自分で何か新しいことを考え、造り出していくというとても創造的な仕事なのである。

図書館報「α」 Vol.11 No.1 目次にもどる