留学生の見た中日図書館比較
高 兵兵
[中国西北大学日本語学部講師]
西北大学のパンフレットや絵はがきに写真が載せられる立派な図書館ビルと違って、名学大のキャンパスの中で、図書館は比較的目立たない存在だ。だが、実際に利用してみると、利用者と本の距離が近く、親しみやすいと感じた。
中国の図書館は組織が細かい。まず、貸出と閲覧がきびしく分けられている。閲覧室はここの開架図書のところと似ていて、利用者が自分で本を取って読むが、そこの本は借りて持って帰ることができない。本を借りる場合、「借書処」に行く。
本の名前と番号を言うと、係りの人が書庫から持ち出してくれる。大学の職員なら書庫に入れてもらえるが、学生は絶対入ることができない。従って閲覧室と書庫両方に同じ本がある場合がある。そして、四・五冊もある時が多く、数人同時に借りられる。また一つ違うのは、本も雑誌も「中文」(国内出版物)と「外文」(海外出版物)とに分けて、「中文」をさらに自然科学と社会科学と文芸とに分けて、貸出と閲覧の区分もいれて、それぞれ違うカウンターで扱うことだ。例えば「日本の経済」に関する資料を揃えるためには、「外文借書処」、「外文閲覧室」、「社会科学借書処」、「社会科学閲覧室」と図書館の中をまわらなければならない。
中日でこういう違いがあるのは、両国の図書分類法が違うからだと思う。中国では、海外出版物の場合は日本と同じ十進法を使っているが、国内の場合はマルクス主義理論、自然科学、社会科学、…をアルファベットで表した中国独特の分類法を使っている。分類の方法といえば、だいたい時代の産物で、どちらがいいかとは言えないと思う。科学が発達し、どの類にも入れない本がどんどんできている。将来、どの国にでも新しい分類法が望まれる時代がきっと来ると思う。
コンピュータを図書館の管理と利用に用いるのは、中国では新しい物事だから、西北大学にはまだ広がっていない。書庫にも入れないまま一枚一枚目録を引いている学生の姿がいつか消えるだろうか。