留学生の見た阪神大震災復興状況


カリン アデルスベルガー

[Adelsberger, Karin 留学生別科生 ドイツ・デュースブルグ大学から留学]


 5月の終わりにNGU の留学生たちはフィールド・トリップに行った。その3日間に神戸、姫路、赤穂を訪問したが、一番深い印象を受けたのは神戸であった。
 1995年1月17日早朝、神戸を襲った阪神大震災からもう一年半の歳月を経た。その悪夢から神戸はどう再起を進めているか、このフィールド・トリップが詳しい情報を私たちに与えてくれた。
 私が住んでいるドイツには強い地震が無いので、阪神大震災のような強い地震の破壊力は頭にあまり描けなかった。ドイツのテレビや新聞でも阪神大震災についてのレポートが多かったけれども、わずか20秒の地震で6千名以上の人々が死亡し、家や建物が玩具のように崩れてしまったことは私には信じられなかった。
 神戸の市役所では地震が与えた被害についてのビデオを見て、その後市役所の職員が復興状況について話し、質問に答えてくれた。
 日本政府が立てた災害対策に外国は厳しい批判を加えた。外国の人々は、日本政府の緊急援助は十分ではないという印象を受けたが、私はインフラや交通が崩壊したから、緊急援助をしたくてもあまりできなかったのではないかと思う。
 神戸地域では、3万3千以上の仮設住宅が建てられた。今でも5万7千人以上の人々が仮設住宅に住んでいる。当初の計画によれば、その仮設住宅は2年間しか使わないことになっていたが、今は仮設住宅の使用期間は10年まで延ばされた。
 また、この震災の影響で精神的な問題に苦しんでいる人々の数も増えてきた。 特に避難所に住んでいた人は、家や家族を失ったというショックから立ち直れないでいる。
 大震災からもう1年半が過ぎ去ったが、今でも仮設住宅に住んでいる人々の数が少なくないことに私は驚いた。もちろん、経済的なインフラを復興させることは神戸にとって重要だが、震災のせいで暮らしにくくなった人々も多数いることを忘れないでほしい。