編集後記



 あるヒマ人の計算によると我が国の少子化傾向がこのまま続けば、およそ800年後には日本の人口はゼロになるそうだ。まあ、これはあくまで計算上の仮説に過ぎないのだろうが、1人の女性が生涯に1.5名程度の数の子どもしか生まないとしたら、考えるまでもなく総人口は減り続ける。同時にこのことは、この後の「高齢化社会」の抱える諸問題(年金、介護、医療、社会的活力など)を、一層浮き彫りにすることにつながっていく。
 ところが一方では、アジア、アフリカ等の地域を中心とした「人口爆発」とい
うとてつもない状況が進行している。現在50億とも60億ともいわれている世界人口が来世紀中には100億に達するという。それだけの口を養う食料資源はこの惑星にはないそうだ。漠然とした不安。まさに「世紀末」という感じがしてしかたがない。この世紀を改めて振り返ることの必要性はここにもある。去りゆく世紀から、体験化された「歴史」を構築し、次代に継承することも世紀末に生きるものの責務のひとつではなかろうか。 (宏)

図書館報「α」Vol.9 No.1 目次にもどる