過激派の過ぎて激しき日月を単にカゲキと書いてしまえば 藤原龍一郎 歌集『19××』より。
一世を風靡した「過激派」もいまや死語となってしまったが、同世代の人々の「固有時」のなかでメンメンと生き続けている。作者は、決して回顧的にではなく、疾走する時代に忘れ去られていくであろうモロモロの社会、文化、風俗の状況について独特の文体で「こだわり」をのぞかせる。 古い「殻」から脱皮していく柔軟さと、その「殻」にこだわっていく真摯さと、矛盾するが私たちにとって「殻」とはそうしたものだと思う。 (宏)
図書館報「α」Vol.9 No.2目次にもどる