ある会社の次の取引から、仕訳、元帳、合計試算表、損益計算書、貸借対照表を作成しなさい
簿記の問題は、原則として仕訳から考えるようにします。
現金 1,000,000 / 資本金 1,000,000
預金 500,000 / 現金 500,000
仕入 300,000 / 現金 300,000
現金 400,000 / 売上 400,000
現金 300,000 / 預金 300,000
注意:現金も預金も、借方にある時は入金、貸方にあるときは出金となることに留意すること。
車両 700,000 / 現金
700,000
仕訳から元帳への転記作業
仕訳で用いられたすべての勘定について、元帳を作成します。使用された勘定科目は現金、預金、車両、資本金、売上、仕入ですから、これらのすべての元帳を作成します。1.の仕訳は次のようになっています。
現金 1,000,000 / 資本金 1,000,000
現金元帳を用意し、仕訳では現金が借方に記入されているので、現金元帳の借方に金額1,000,000を記入します。同じように資本金元帳を用意し、仕訳では資本金が貸方に記入されているので、資本金元帳の貸方に金額1,000,000を記入します。具体的には次のように記入します。
すべての仕訳から、各勘定の元帳に転記すると、次のようになります。
合計試算表の作成
合計試算表は、各勘定の元帳の借方合計、貸方合計をすべて転記して作成します。現金元帳の借方合計は1,700,000円、貸方合計は1,500,000円ですから、合計試算表の現金勘定の行に、それぞれ借方列には1,700,000円、貸方列には1,500,000円を転記します。
このようにして、すべての勘定について、元帳から合計試算表に転記を行います。なお、残高試算表では、各勘定の借方差額、ないし貸方差額をそれぞれの勘定の行に転記します。この問題の数値を例とすると、借方に200,000円の残高が生じますから、残高試算表の借方に200,000円を転記します。
なお、試算表を作成したら、必ず借方列の合計と、貸方列の合計とが一致することを確認します。もし、一致しなければ仕訳から試算表作成過程でミスをしていることになるので、原因を明らかにして、誤りを訂正します。
合計試算表から、損益計算書および貸借対照表を作成する
損益計算書及び貸借対照表に表示される各勘定の金額は残高です。このため、合計試算表の対応する勘定の借方、貸方に記載した金額を、そのまま転記するのは誤りです。必ず残高を求め、その金額を転記する必要があります。
損益計算書に属する勘定科目は、収益および費用に関する科目です。試算表に記載された勘定科目が収益・費用科目に属するかどうかを判断して、転記する必要があります。
貸借対照表に属する勘定科目は、資産および負債、資本に関する科目です。
損益計算書と貸借対照表に当期利益ないし当期損失以外には、同じ勘定が記載されることは絶対ありません。
当期利益ないし当期損失は、試算表の各勘定の金額を損益計算書ないし貸借対照表に転記し終えたとき、それぞれの表の借方列と貸方列の差額について、その差額を補充するようにして設定されます。
たとえば、損益計算書では、売上と仕入とが試算表から転記されます。すると借方合計は300,000円、貸方合計は400,000円となり、差額が貸方に100,000円発生します。この差額を補充するように借方に100,000円を記入し、これを当期利益とします。反対の列(貸方)で差額を補充する場合、これを当期損失とします。同じように貸借対照表では借方合計は、1,100,000円となり、貸方合計は1,000,000円となります。差額100,000円が借方に生じますので、これを補充するように、貸方に100,000円を記入し、これを当期利益とします。借方に補充をおこなうとき、当期損失とします。
このように、損益計算書と貸借対照表とでは、当期利益ないし当期損失は、それぞれ反対側の列に生じます。なお、このようにして求めた損益計算書および貸借対照表の当期利益ないし当期損失の金額は一致します。一致しないときは転記ないし合計算出に誤りがあります。
当期利益ないし当期損失を補充した後、損益計算書も、貸借対照表も借方列、貸方列の合計を計算し記入します。当然のことですが、損益計算書および貸借対照表のそれぞれの借方合計と貸方合計とは一致します。
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