平成10年10月13日練習問題

 たおやめ商事の債権には、売掛金、受取手形、貸付金とがあります。
それぞれの勘定の期末残高は次のようになります。
売掛金   5,000,000円
受取手形  5,000,000円
貸付金   2,000,000円

【質問1】
たおやめ商事の過去の債権の貸し倒れの実績は、債権総額の1%です。
そこで平成10年9月末が会計期間の終了日ですので、決算にあたり
貸倒引当金を期末債権総額の1%で設定することとしました。この場合
の仕訳はどのようにするべきでしょうか。

【回答例】
貸倒引当金は債権総額に対して設定されます。問題本文から、債権の総額は
売掛金と受取手形と貸付金の合計となります。

債権総額=5,000,000+5,000,000+2,000,000=12,000,000

貸倒引当金は問題本文から債権総額の1%で設定することになっていますから

貸倒引当金の額は12,000,000×0.01=120,000となります。

貸倒引当金の設定の仕訳についてはテキストP190以降を参照してください。
基本的には 貸倒損失/貸倒引当金 という仕訳になります。

よって仕訳は
(借方)貸倒損失 120,000/(貸方)貸倒引当金 120,000
となります。

【質問2】
平成10年10月12日に、取引先の尊田商店が倒産したとの連絡を受
けました。尊田商店には平成10年9月末現在200,000円の売掛
金があったのですが、営業の担当者の話では回収できるものは何もない
状態であるとのことです。この場合の仕訳はどのようにするべきでしょうか。

【回答例】
尊田商店が倒産したことにより、営業担当者の説明にもあるように前期末
の債権(売掛金)200,000円は回収不能のようです。ところが当社は前期末
債権の1%が回収不能と予測していました。その額は【質問1】のように
120,000円であり、予測額以上の回収不能額が発生したことになります。
予測ミスが80,000円となります。本来であれば前期の予測を訂正して見込み
の%を変更すべきですが、過年度に確定した決算を変更することはできませ
ん。この予測のミスは、この事業年度で負担せざるを得ないのです。ただし
120,000円は前期に損失の見込みをしているので、当期の損失と見なすこと
はできません。これらを考慮すると

仕訳は
(借方)貸倒引当金 120,000/(貸方)売掛金 200,000
(借方)貸倒損失   80,000
となります。

【質問3】
ところで、尊田商店に対する債権として、平成10年9月末現在、
貸付金が100,000円だけあったとしたら、そして回収可能性が全く
ないとしたら、どのような仕訳をするべきでしょうか。

【回答例】
尊田商店が倒産したことにより、営業担当者の説明にもあるように前期末
の債権(売掛金)100,000円は回収不能のようです。ところが当社は前期末
債権の1%が回収不能と予測していました。その額は【質問1】のように
120,000円であり、予測額以内の回収不能額が発生したことになります。

仕訳は
(借方)貸倒引当金 100,000/(貸方)売掛金 100,000
となります。



【質問4】
また、尊田商店に対する債権として、平成10年9月末現在、受取手形が
100,000円あり、平成10年10月1日以降の取引より生じた
売掛金が100,000円、合計200,000円の債権があった場合の
仕訳はどのようにするべきでしょうか。この場合も尊田商店よりの
回収可能性は微塵もないとします。

【回答例】
 尊田商店の前期末債権は質問3と同じように100,000円ですから、その部分
については質問3と同じになります。ただし債権が売掛金ではなく受取手形
であることに注意します。
 今期に発生した売掛金100,000円については、前期末に貸倒引当金を設定す
る対象とはなっていないのですから、ふつうの貸倒損失としてあつかいます。

仕訳は
(借方)貸倒引当金 100,000/(貸方)受取手形 100,000
(借方)貸倒損失  100,000/(貸方)売掛金  100,000
となります。
 以上の期末における仕訳と、決算日以降に発生した3つの倒産事例に
対する仕訳を下に記入してください。