いま母集団のバラメターとして「母平均」に関する検定の例をあげて、さきの統計的仮説検定法を習得しよう.
例(母平均の検定)従来の機械による製品の一価あたりの重さの平均は2.5gであった.いま新しい機械による製品から任意に25個抜き取って重さを測り、次の結果
平均x= 2.3g, 標準偏差S=0.2g
を得た.新しい機械の製品と従来の製品との間に重さの平均について差異が認められるか.
この問題が要求していることは、新しい機械でつくられた無数と思われるほどの多数の製品の重さの平均と従来の製品の平均2.5gとの何に差異があるかどうかを、僅か大きさ25のデータから判断してくれということである.つまり少数のデータで研究対象とする母集団の状況をしらべることとなる.いま便宜上四つの段階 (i)〜(iv)に分けて考えてみよう.帰無仮説H0を立てるわけだか、この場合、新しい機械による製品は従来のそれによる製品と異なると思うのが実際である.だから、実際には考えられないH0は、前述の主旨にそって従来とかわらないという仮説をたてるのがよい.
(i)仮説H0: 2.5 と設定する.従来の製品の平均の重さと比較するのであるから、その平均2.5 を帰無仮説にとりあげたわけである.(ここに帰無仮説を設定する意義を考えよ.)
(ii)この問題にふさわしい統計量Tとして何を用いたらよいのか.本題は母平均に関するものであるから、その推定量として任意標本..‥・.T、の平均xl′nをとりあげ、その確率分布を調べるという方法がよく用いられる.ここでxの確率分布を記しておこう.
独立な確率変数xl,×.・・・.X かいずれも正規分布N(,)
に従うとき、xはN(,)に従う.(証明略)