2000年9月1日作成
第5日目 何を趣味にしているのか?
「お鉄ちゃんなんですって?」
「鉄道ファンだってこと?そうですよ。」
「ちょっと、危ういことないですか?」
「別にただ鉄道が好きだっていうことで、危ないも安全もないですよ。」
「写真取ったりするんですか?」
「その趣味はないですね。時刻表を見たり、電車に乗り歩いたりとか、そういうことです。」
「時刻表を見て何を調べるんですか?」
「いや、何かを調べるといっても、別にどこに行くわけでもないですから、「この線には特急が一日何本走っているのか」とか「房総半島を一周するのに一日で可能かとか、何時に東京を出ると晩までには帰ってこれるか」とか、そういったことを見てるわけです。
他に、パソコンにインストールしている「駅スパート」というソフトがあって、これは、起点と終点の駅を入れるとその間の経路が所用時間順とかで表示されるんですが、おもしろいですよ。以前は年間会員になっていて、一年間で6回最新のデータが送ってきていたんですが、今年は更新するのを忘れていました。まあ、前の分でじゅうぶん楽しめるんですけど。」
「どこかに旅行するときとかに便利そうなソフトですね。」
「別にそういう特定の目的じゃないときに遊ぶのが楽しいんですけどね。」
「はあ...それで、話は変わりますが、大学の「スタッフガイド」に「名鉄の路線は全部乗った」と書いてありましたが、何をしていたんですか?」
「「何をしていたんですか?」って訊かれても、答えようがないですが、電車に乗っていたんですよ。」
「お仕事で?」
「だから、これは趣味なんですから、何か別に目的があって乗るんだったら、それは趣味にならないでしょう?」
「じゃあ、ただ乗っていただけですか?」
「そうですよ。最もあれは少しオーバーに書いたんで、本当は乗ってない路線も少しあるんですけどね。」
「それいつ頃の話しです?」
「名鉄に乗っていたのはまだ子どもがいない頃です。当時は大学の専任ではなくて、非常勤で仕事をしていたので、暇はあったんですよ。岐阜に来て間もない頃で、お金もあまりかからないし、そうやってあちこち乗っていました。もちろん他の会社の線も乗りましたけどね。」
「...」
「よく学会なんかに出かけていって、東京とか大阪方面だと半日くらい抜け出して電車に乗りに行ったものです。」
「今でもやっているんですか?」
「子どもができてからはそんな暇はなくなりましたね。大学の仕事も加速度をつけて増えてきましたし。それに学会の方も、だんだん忙しくなって、抜け出すことができない学会が多くなってきました。今では、出張とか学会でその会場に行くときにできるだけいろいろな路線に乗れるように行き方を考えるのがせいぜいです。」
「最近乗った路線ではどんなものがありますか?」
「東京に出張したときに、JR中央線の立川駅を起点にしてモノレールが今年できたのですが、それに乗れたのがうれしかったですね。あとは、京王線とか東武東上線とか東京の主要私鉄でこれまで乗ったことがなかった路線に乗る機会がありました。」
「だいたい、電車に乗って何を見ているわけですか?」
「駅の設備とか、電車の外観、性能などです。それに、その路線の風景ですね。都会の場合には同じような景色が続くように思えますけど、やはり小さな駅の様子とか、ターミナル駅や途中の主要駅の様子などには少しずつ個性があります。それに電車の窓からどんどん動いていく景色を、レールの音をききながら、見るというのは楽しいじゃありませんか?」
「いや、そう尋ねられてもちょっと困るんですけど...でも、もう一歩踏み出したら危ない世界じゃあないんですか?」
「そうですか?私には、目の前に、まだまだ心安らぐ平和な土地が広がっているような気がするんですけどね。違います?」
「....」
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