2001年 1月17日作成

第12日目 雪が降る...

「先生は鹿児島のご出身でしたよね。そうすると雪は珍しいんでしょう?」
「まあ、そう言うほど珍しいこともないですけどね。年に何度かは積もることがありますから。」

「でも、名古屋はともかく岐阜は降るでしょう?」
「それですよ、それ!こっちに最初に来た年に、特によく降った印象があります。一日で40cmとか積もってびっくりしました。それに、仕事で名古屋に行くときなんか、朝、かさを持って雪用装備で出かけて、名古屋駅で地下鉄に乗り換えてそれで階段を上がって外に出てみたら、雲一つないいい天気、とか。で、また、夕方岐阜に帰ってくると朝よりももっと積もっている、とか。それに、雪の降り方が激しくて、昼間でも見ている間にどんどん積もっていくのに驚きました。珍しいもんですからね、最初は嬉しくなってしまいましたね。」
「「最初は」でしょう?」
「そうです。「最初は」ですよ。雪かきとか、もううんざりです。車に積もった雪をかき分けて、エンジンをかけるとか、お湯を家から持ち出して車にかけて雪をとかすとか、たいへんでした。屋根に雪を乗せたまま走っていると、そのうちに、信号で止まったときなんかに、屋根の雪が運転席の前にどさっと落ちてくるんですよね。今は車庫に屋根がついているのでよくなったんですが。」

「で、大学の方も結構積もるんでしょう?」
「うーん、やっぱり積もることがありますね。雪化粧したチャペルとかは絵になるんですが、入試とかと重なってしまうとしゃれにならないですよね。」
「そんなに降るんですか?」
「冷静に考えてみると、そんなにいつも積もっているわけじゃないんですけど、1月の下旬から2月の中旬くらいまでが一番危ないわけですよね。そうするとそれが、大学の定期試験と入学試験の日程にまともにぶつかってしまって、ということです。赴任してから10年以上たちますが、入試の全日程を全く無事に過ごせたのは半分くらいじゃないですか。「雪が降りそうだから前日の夜は大学で待機する」というくらいのことを含めると、大体毎年1日くらいは、そういうことがありますよ。それにこのところ、入試日程も多くなっていますから、ますます影響を受けやすくなっていますね。」

「今朝はどうやって大学に?」
「車で家を出たら、まず、名岐バイパスの新木曽川橋でトラックが事故を起こして、3車線の内、2車線ふさがっていました。ここで渋滞にあって、40分のロス。木曽川インターから中央道多治見インターまでは順調に走れましたし、多治見市内もまずまずでしたが、248号線で瀬戸に向かい始めたときから周りの山の雪の量がやけに多くなり(不吉な予感!)、瀬戸市と多治見市の境あたりから車の列が続いていて、そこから下半田川の方へ左折するところまで渋滞でした。渋滞は瀬戸市の方までずっと続いていました。そこで20分のロス。いつもは早朝に1時間10分で来る道が2時間10分かかりました。」
「いちおう冬用タイヤはつけていらっしゃるんでしょう?」
「当然ですよ。なかったら車が使い物になりません。」

「でも雪景色が見たい、とおっしゃっているとか...」
「自分が寒い思いをするとか、雪かきをするとか、じゃなければ、時々はいいものだと思います。」
「そういうのを「自分勝手」と言いませんか?」
「えっと、中央線の「しなの」で長野とか、北陸線の「しらさぎ」で日本海側の方をずっと走ったりとか、高山線の「ひだ」で高山を通って富山まで行くとか、そうやって雪景色を見に行きたいと思うことがあるんですよ。終点の駅でコーヒーでも飲んでそのまま帰ってくるだけでいいんですが。」
「電車に乗るのと雪景色を見るのと混乱していませんか?」
「電車の中でコーヒーを飲みながら、カタコトと揺られている、という、そういう全部溶け合った中に自分がいると思うと、この世のことを全部忘れてしまえそうな気がしますが。」
「この世の当座の締切を片付けてから、溶けるなりなんなり好きにしてくださいね。」
「ハイハイ。」

このページのトップへ戻る
第1日目のページへ戻る
自宅のページへ戻る

ホームページのトップへ戻る