2001年 2月 8日作成
第13日目 モバイルと私
「モバイルって、やってらっしゃるでしょう?」
「やってらっしゃるでしょう?って言われても...やってますと言えばやってますが...」
「ほら、いつも、ノートパソコンを持ってうろうろしていらっしゃるじゃないですか?」
「例えば、ノートパソコンは何を使っていらっしゃるんですか?」
「あれはですね、Panasonic CF-S21という、パナソニックのLet's noteのシリーズです。」
「結構古いですよね。」
「買ったのは1998年ですからね。まあ古いですよ。」
「何がよかったんです?」
「それって、まるで、結婚した理由を訊いているみたいじゃないですか。どこに惚れたんですか?とか。」
「そんなことはどうでもいいですから、Let's noteのどこがよかったんですか?」
「えっとですね、まず、ポインタがトラックボールだということですね。私はタッチパッドが苦手なんですよ。どうもあの手触りの感触の加減がよくわからなくて...」
「IBMなんかは、スティックを使ってますよね?」
「あれもだめですね。トラックボールは苦手な人が多いようですが、僕には合っています。でも、これって、これ自体に製造コストがかかるのか、それとも製品が売れないからコストが高くなっているのか、値段が高くなるんですよね。それに、トラックボールの分だけどうしても厚みが出て、薄くできないので、薄型のノートではあまり好かれていないようです。メーカーも結局Panasonic以外は製造しなくなりましたし。」
「他にいいところは?」
「バッテリーが長持ちするところでしょうかね。」
「どのくらいもつんですか?」
「実動3時間ですね。画面を暗くすればもう少し長く保つと思うんですが、あんまり暗くすると使いづらいので。少し明るめの画面で使い続けて、3時間は完璧に使えます。これって結構長いですね。今頃のノートパソコンは、バッテリーを積み替えて長い時間使えるようになっていますけど、この当時は珍しかったんですよ。」
「あのノートパソコンはそれほど軽くないですよね?」
「いえ、それほどでもないですよ。本体が1.5kg足らずでしょうか。それにFDドライブと電源アダプターが入りますけど、電源アダプターは本体のバッテリーが長持ちするということで、いざとなれば持ち歩かなくても何とかなることもありますし、いちおう前年と今年のデータは全部HDDの中にバックアップを入れてありますから、最低限の仕事は可能です。結局トータルで考えると軽い方じゃないでしょうか。」
「少し古くなったと言うことですが、メモリーとかハードディスクはどのくらい積んでいるんですか?」
「メモリーが96MBあります。買った頃は32MBが普通の頃だったので、特にノートパソコンとしてはかなり大きなメモリーを積んでいます。メモリーが大きいとやっぱり快適ですね。」
「ハードディスクは?」
「3.2GBです。」
「それって、あんまり容量がないんじゃないですか?今頃のパソコンはノートパソコンでも20GBくらいは当たり前でしょう?」
「いや、ハードディスクというのは特にこの頃性能がどんどんよくなっていて、だいたい毎年、前の年の倍の容量になるといわれています。値段は変わらないわけですからものすごいわけですよ。3.2GBでも買った頃は一番大きかったんですけどね。」
「それで間に合っているんですか?」
「結局いつも使うソフト以外は出来るだけインストールしないようにしているので、これで十分ですね。それに外で仕事をするためのマシンですから、原稿が書けることとメールが読めることさえ出来ればいいわけで、必要なソフトは限られていますから十分ですよ。余計なものまでどんどん手を出していると、そのうちに身動きがとれなくなりますから。」
「いいことばっかりのようですが。」
「困ることはですね、このパソコンは電源を入れてから実際に使えるようになるまでに時間がかかるんですね。だいたい、モバイルということは、細切れの時間を使って仕事をしておこうという発想があるわけですから、さて時間が余ったから仕事をしよう!と思って、仕事が始められるまでに2、3分もかかったら困るんですよね。これはWindowsというOSに共通して言えることなんですが、何とかしてほしいと思います。」
「Windows CEというのは電源を入れたとたんにスタンバイしてますよね?」
「そうですね。あれは便利ですね。実は、あれも持っているんですけど。」
「えっ!まだ持っているんですか?目移りしませんか?よく違う種類の機械を器用に使い分けることが出来ますね。」
「いや、それは、時々は混乱していますけど。もう一台持っているのはNECのモバイルギアというマシンです。型番でいうとMC-R300というやつです。」
「なんでまた?」
「これは、衝動買いということもあったんですが、さっき話した、とにかく電源を入れてその場でスタンバイということで感激したことがあります。それから要するにモバイルギアというのはノートパソコンのキーボードの部分を切り取ったようなマシンで、ブラインドタッチが出来て原稿なんかを書くのには本当に便利なんですよ。新聞記者が現場で原稿を書いて、そのまま携帯で接続して本社にメールで送る、というそのためだけに出来たマシンだそうですけどね。」
「さっきお話ししていたバッテリーなんかはどうなんですか?」
「だいたいWindows CEというのはバッテリーが長持ちするんですが、私の持っているのはモバイルギアのモノクロ版というやつで画面は白黒なんです。その分電気をあまり使わないので、アルカリ乾電池2本で30時間使えるというとんでもないマシンなんですよ。もっとも、通信をするときにはもっと短くなりますけどね。」
「それはすごいですね。」
「やっぱりこの点が一番気に入っていますかね。スタンバイが瞬時にできて、長時間相手をしてくれるということですから。」
「軽いんですか?」
「700gくらいだったと思いますが。ちょっと大きめの手帳をカバンに入れているという感じです。」
「インターネットも出来るわけですよね?」
「もちろんです。だいたいモバイルギアを持ち歩くのはメールチェックという目的が一番大きいですから。」
「Let's Noteでも出来るんでしょう?」
「出来るんですけどね、なにぶん、電源を入れてからスタンバイするまでの時間がかかってしまうもので、いらいらしてしまうんですよ。それにどうもこのLet's noteはPCカードのスロットが今一歩で、接続が悪くなるようですね。それで部品を取り替えてもらいました。」
「モバイルギアではフロッピーディスクとかは使えないんでしょう?」
「普段は使えないですね。やってやれないことはないと思ったんですが、でもせっかく軽いマシンを持ち歩いているときに、フロッピーディスクのドライブまで一緒に持ち歩くということだと、いったい何のための軽いマシンだ、ということにもなりますし...」
「それで作った文書とかはどうされているんですか?」
「自分宛のメールにして、どんどん送っていますね。」
「は?」
「いや、要するにテキストファイルだったどこでも取り出して加工できますから、全部自分宛のメールにして送っておいて、後からゆっくり取り出して使うわけです。もう一つ、コンパクトフラッシュという小さい記憶装置に入れておくという手もありますが、ノートパソコンだとすぐに使えるんですが、私が持っているデスクトップのパソコンでは直接使えないですよ。だから自分宛のメールが一番便利ですね。」
「デスクトップのパソコンは先日買い換えたそうですけど、ノートパソコンの買い換えの予定はあるんですか?」
「まあ、パソコンの寿命は、パソコン1年に対して人間20年だろうと思っています。だからこのノートパソコンもかなりの年寄りということになるんですが...でも、やることが決まっていますからね、別にこのままでもいいです。それに一番気になっている電源を入れてからの立ち上がりの時間というのも、Windowsそのものが変わらないとしょうがないということもありますのでね。」
「モバイルギアの方は?」
「うーん、これは実は迷っているところがあって、今持っているMC-R300の後継機が発売されていて、これにはATOKがインストールされているんですよ。」
「ATOKというのは、ジャストシステムから発売されている漢字かな変換ソフトでしょう?」
「そうなんです。漢字かな変換ソフトはやっぱりATOKでないと、っていつも思っているもんですから、パソコンショップで新しいものを見るたびに衝動買いの発作が起こりそうになるんです。それにモノクロのマシンというのは地味なせいかもしれませんが、見に行くたびに値段が下がってきてて、もう財布に伸びる手を必死で押さえていて...」
「いっそのこと、買っちゃったら楽になるんじゃないですか?」
「いや、それが、新しいマシンはコンパクトフラッシュが使えない上に、電池の駆動時間が短いんですね。作りも全体として今一歩ちゃちな気がするし...」
「好きなだけ悩んでいてください。でも、モバイルをこれだけそろえていれば仕事もはかどるでしょう?」
「...」
「ご返事がないようですが?」
「...」
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