2001年10月20日作成
第15日目 音楽と私(この頃)
「最近音楽の趣味が変わったとか聞きましたが。あいかわらず車で聞いているんですか?」
「車くらいしかゆっくり音楽が聴ける時間はありませんから、そうですね、運転している時間のほとんどは何かしていますね。」
「今頃何を聞いているんですか?」
「この間までCDプレーヤーに入れていたのは、
(1)ショパン「エチュード全曲集」(ポリーニ)
(2)べートーベン「ピアノ協奏曲5番」(アシュケナージュ)
(3)ショパン「スケルツォ全曲集」(ポリーニ)
(4)シューベルト「ピアノソナタ21番」(ポリーニ)
ですね。」
「ピアノ曲ばっかりじゃないですか。それもショパンとかシューベルトとか、去年、ロマン派は甘口で好きじゃない、とか大口をたたいていた人たちでしょ?」
「いや、まあ、人間は変わるもんですよ。だいたいずっと同じようなものばかり一生聴くわけにはいかないし。」
「それで、ショパンの「エチュード」ですが、「エチュード」というのは「練習曲」ということでしょう?」
「そうなんですけど、この「エチュード」はプロのピアニストのための練習曲ですね。短い曲のそれぞれに技巧が凝らしてあります。ちょっとやってみましょうか、という程度では弾きこなせないらしいですけどね。」
「(2)のベートーベンの「ピアノ協奏曲第5番」というのは「皇帝」って呼ばれている曲でしょう?」
「そうです。けっこう派手な曲だということで、まあ、そのとおりなんですが、第4楽章で展開が変わるというか、世界が一変する感じがいいですね。いっぺん、自分の身の回りもこんな風にならないかな、と思ったりして。」
「音楽をそこまで自分の方にねじ曲げて聴いていたら世話ないですよ。
(3)はショパンの「スケルツォ全曲集」ですか。」
「その代わりに「バラード集」が入ることもあります。」
「ショパンの何が気に入ったんですか?」
「別にある日突然というわけではないのですが、自分のCDのラックに入っている中で取り出して聴いたみたら、「これって、いいんじゃない?」ということになっただけです。」
「それだけ?」
「ああ、それとですね、「エチュード」を薦められたんですよ。以前は「練習曲?」というくらいのことしか知らなかったんですけど、ポリーニのCDがすごい、ということも聞いていたので、買ったわけですね。「いい」じゃなくて、やっぱり「すごい」でしょうね。」
「なんですか、それ?」
「だから「いい」って言うときには、「気持ちいい」とか「聞いていて不快じゃない」というレベルまで入ってくるでしょう?だから自分の方に余裕があるわけですよ。「ああ、この人はこんなもんか」という具合にね。「すごい」というのは「完全に圧倒される」ということですから、自分の評価の針が振り切れて、もうどうにでもして!という感じになるんです。」
「いつもそんなことまで考えて聴いているんですか?」
「だから、もののたとえですよ。」
「ところで、シューベルトも聴くんですか?」
「これは前から持っていたCDだったんですが、ショパンを改めて聴くようになってから取り出してきました。いいですよ。」
「他にはシューベルトは聴くんですか?」
「持ってはいるんですけどね。ピアノソナタの他のものとか。内田光子のCDなんですけど、どうもしっくり来なくて。内田光子はモーツァルトはいいんですけどね。それから「即興曲全曲集」を持っています。アウラの2枚組ですけど、これは好きです。」
「他の作曲家のピアノ曲は聴くんですか?」
「モーツァルトはソナタもコンツェルトも聴きますね。ベートーベンのソナタをあまり聴きませんね。コンツェルトはよく聴くんですけどね。アルゲリッチが弾いているベートーベンピアノ協奏曲1番と2番のCDなんかいいですよ。」
「そういえばピアニストはポリーニが多いですね。」
「そうですね。ポリーニをよく買いますね。あとはアルゲリッチと内田光子かな。アウラ、ブレンデルとか買わないわけじゃないんですが。」
「ポリーニのどこがいいんですか?」
「いや、別に、そんなに詳しく聴き分けることなんか出来ませんから、どうでもいいと言えばどうでもいいんですが、強いて言うと、弾き方が固くてあまり情感に頼らないところでしょうかね。でもこれは単なる印象ですけどね。」
「他には?」
「いろいろです。よく聴くのは桂枝雀の落語ですね。」
「お好きなんですか?」
「うーん、落語家ではやっぱり枝雀ですね。よく5代目の志ん生とかいいっていいますし、CDの全集も持っているんですけどね、どうも江戸の方はあんまり好きじゃないですね。かっこつけすぎるからかな?とも思うんですが。なんかあの人達は偉そうにしゃべるんですよ。」
「それって、単なる主観じゃないですか?それで、桂枝雀の中で好きな演目はどんなものですか?」
「えっとですね、たくさんあるんですが、「寝床」「植木屋娘」「花筏」「持参金」などなど、ですね。一覧表をあげたいくらいですよ。」
「夢中になって聴いているんでしょ?」
「そりゃそうですよ。」
「高速道路をとばしながら?」
「もちろんです。」
「運転大丈夫です?」
「だって、そんなことでもしていないと、運転に集中してもっととばしますよ。」
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