▼ 第08回 グラフ作成の基本(グラフウィザードと円グラフ)
■ グラフの作成
グラフ(graph)は数値データを直観的に理解できるよう表現したものである。これによりデータの分布や傾向などがわかる。
グラフにはさまざま種類があり、データに適したグラフを用いることが重要である。たとえば、割合を表示するには円グラフ、時間の経過とともにデータの移り変わりをみるには、折れ線グラフや棒グラフなどを用いる。数学のグラフのように2つのデータは散布図を利用する。
□例題8-1:グラフの描画 |
難易度:★ |
目安時間:15分 |
例題集 |
方眼紙を用いて例題のデータをグラフとして表現する。各自、適当な目盛をとって鉛筆で描く。
|
■ グラフウィザードの利用
Excelでは、グラフウィザード(graph wizard)を利用してグラフを描く。ウィザードを利用すれば、対話形式で作成できるので簡単である。以下の4段階画面が表示される。
1/4 グラフの種類
2/4 データ系列,項目軸ラベルの設定など
3/4 凡例(はんれい)の意味,データラベル,タイトル
4/4 グラフの場所
各画面下の[次へ>]というボタンで進み、[完了(F)]ボタンで終了する。(どのステップで完了してもよい。)
□例題8-2:グラフウィザード |
難易度:★ |
目安時間:10分 |
ノート |
インターネットを用いて、ウィザードの意味を調べる。
|
■ グラフの種類 1/4
このステップでは、2つのタブ(標準、ユーザー設定)がある。
グラフの種類(C)のなかにさまざまな形式が用意されている。各グラフ形式の特徴が簡単に説明されているので、最も適切なグラフを選択する。
□例題8-3:グラフの種類 |
難易度:★ |
目安時間:3分 |
ノート |
Excelに用意されたグラフは何種類か。その種類と特徴を確認する。
|
形式(T)にあるグラフを選択し、その下に現れる名称と特徴を確認する。
|
■ グラフの元データ 2/4
このステップでは、2つのタブ(データ範囲、系列)がある。とくに[系列](下図参照)の操作が重要である。
グラフウィザード(2/4)における項目軸ラベルは最も重要である。1系列しかない円グラフでは、ここで指定した範囲が凡例に用いられる。また、名前(N)で指定した内容が円グラフのタイトルとして表示される。
選択するグラフによっては、入力する名前や数が異なる。
□例題8-4:項目軸 |
難易度:★ |
目安時間:3分 |
ノート |
上のグラフで、項目軸とはどの部分を示すか。また、上の図で入力されているセルの範囲を示す(値(V):)。$マークはどのような意味か。
|
■ グラフオプション 3/4
このステップでは、[タイトルとラベル]などグラフの部品に関する設定を行う。グラフの種類によってタブの項目は変わる。
上図では、6つのタブ(タイトルとラベル、軸、目盛線、凡例、データラベル、データテーブル)がある。グラフのオプションであるからさまざまな設定ができる。
□例題8-5:グラフオプション |
難易度:★ |
目安時間:3分 |
ノート |
「凡例」は何と読むか?またそれは上の図でどの部分を示すか。データラベルとはグラフのどの部分を示すか。
|
■ グラフの作成場所 4/4
作成したグラフをどこに貼り付けるかを決定する。
オブジェクト(O):現在の作業シート内にオブジェクトとして作成される。
新しいシート(S):新たなグラフ専用シートを作成し、シート全体に配置される。
□例題8-6:作成場所 |
難易度:★ |
目安時間:3分 |
ノート |
作成場所のオブジェクト(O)とシート(S)はどのような違いがあるか。
|
■ グラフ要素(基本)
グラフにある要素(element)をポイントすると要素名が表示される。これらはすべてオブジェクト(object)であり、Wordの図形オブジェクトの操作方法と基本は同じである。
- データラベル(data label) 3/4
- データ系列名(data series)
- グラフエリア(graph area)
- プロットエリア(plot area)
- 凡例
- グラフタイトル(graph title) 3/4
□例題8-7:グラフ要素の確認 |
難易度:★ |
目安時間:5分 |
ノート |
グラフの要素をポイントし、それぞれの部品名を確認する。2種類のエリア(グラフ・プロット)を述べ、どちらが大きいかを示す。 |
■ グラフエリアとプロットエリア
グラフを描く台紙のような部分(エリア)をグラフエリアという。グラフの要素中、これがもっとも大きい。また、データをグラフの上に打つことをプロット(plot)という。グラフ(円、棒、折れ線など)が描かれている部分をプロットエリア(plot area)という。
■ グラフ要素をアクティブにすると
グラフ要素の編集は、マウスでグラフ要素をクリックしアクティブ(active)な状態にする。この状態でグラフの位置やサイズなどを変更できる。
グラフ編集時の画面では、メニューバーの項目[グラフ(D)]から[グラフ(C)]へと変化する。(確認)
□例題8-8:円グラフ要素の選択 |
難易度:★ |
目安時間:5分 |
グラフ練習 |
グラフ要素のプロットエリアをクリックし、アクティブにする。メニューバーの項目[グラフ(D)]はどのように変化するを確認する。 |
|
■ グラフの編集方法@:基本
グラフウィザードで作成されたグラフは系列の色や大きさ(デフォルト)など決して見やすいものではない。相手にわかりやすくするためには、十分な編集が必要である。
編集の基本としては、@必要な部品を指定する(アクティブ)、A書式設定バーにあるボタン(フォント種類・サイズ・色、太字、斜字体、下線など)を利用する。(Wordと同じ)。また、エリアは塗りつぶしを行う。
この他にも、グラフバーを利用する方法や各要素の上で右クリックする方法がある。最も詳細な設定には、プロパティボックスを利用する。
□例題8-9:円グラフの編集 |
難易度:★ |
目安時間:5分 |
グラフ練習 |
グラフ要素であるプロットエリアを水色にする。また、グラフエリアを黄色にする。 |
|
■ グラフの修正:ウィザードの利用
グラフの種類を変更するという場合には、作成したグラフをアクティブにし、グラフウィザードのボタンをクリックする。するとグラフウィザードが表示されるので、グラフウィザード(1/4)で折れ線グラフへ変更すればよい。
このようにグラフを指定(アクティブに)した後にウィザードをかければ、再編集が可能である。
□例題8-10:円グラフの作成と編集 |
難易度:★ |
目安時間:15分 |
例題集 |
大学生の生活調査により、各学年別の回答分布を円グラフにする。(すなわち、4つ作成する。)グラフのタイトルは「学年別割合」とする。次のようなグラフに編集する。グラフの要素である系列をひとつ外へ出す。(円グラフの分解) |
プロットエリアに色をつける。タイトルの色を赤にしてポイント18とする。
|
▼ 第09回 グラフの作成と編集(棒・折れ線グラフ)
■ 棒グラフの構造
円グラフと異なり、棒グラフには縦軸と横軸がある。Excelでは、数値を表す軸を数値軸、項目の名前をあらわす軸を項目軸と呼ぶ。(数学で利用する散布図はどちらも数値軸となる。)それぞれの軸はグラフの部品としてグラフ要素であり、編集可能である。
またグラフ軸には目盛があり、目盛の設定や棒グラフの幅の設定などさまざまな設定が可能である。円グラフとの違いはデータ系列が複数表示できる点である。
作成にあたっては「習うより慣れ」て欲しい。
□例題9-1:棒グラフ基本構造 |
難易度:★ |
目安時間:5分 |
ノート |
例題8-1の方眼用紙を使ってグラフ要素を記す。 |
■ グラフの編集方法A:グラフバーの利用
グラフ要素の編集は、バーによる編集が簡単である。バーには、選択した要素名が表示される。▼より編集可能なグラフ要素すべてが表示される。また、プロパティのボタンが利用しやすい。
グラフバーが画面上に表示されていないときには、メニュー[表示(D)] → [ツールバー(T)] → グラフを選択する。
□例題9-2:グラフバーの表示 |
難易度:★ |
目安時間:5分 |
ノート |
グラフバーを表示する。また、バーにある各ボタン名(9つ)を確認する。 |
■ 軸要素とその関連要素
数学でいうx軸(横軸)をExcelの棒グラフでは項目軸と呼ぶ。数値軸ではその順序か重要であるが、項目軸は順序を変えても大きな問題はない。また、y軸(縦軸)をExcelの棒グラフでは数値軸と呼ぶ。また、各軸に関連する要素もある。
- 項目軸 → 軸ラベル、目盛線、補助目盛線 など
- 数値軸 → 軸ラベル、目盛線、補助目盛線 など
□例題9-3:棒グラフの作成 |
難易度:★★ |
目安時間:15分 |
例題集 |
20点満点のテスト結果をExcelにコピーし、以下の作業を行う。
- 合計をExcelで計算する。
- 棒グラフ(ヒストグラム)を描く。
|
グラフウィザード(2/4)で、項目軸ラベルの設定に注意する。
処理条件としてデータラベルを付ける。
|
■ グラフの編集方法B:右クリックの利用
グラフ要素の上で左クリックするとその要素がアクティブになる。グラフ要素の上で右クリックをすると、その箇所で利用できるメニューが現れる。これをポップアップメニュー(popup menu)と呼び、選択した要素を編集するのに便利である。たとえば下図においてグラフの種類(Y)...はGW1、元データ(S)...はGW2、グラフオプション(I)...はGW3、場所(L)...はGW4に相当する。
□例題9-4:ポップアップメニュー |
難易度:★ |
目安時間:5分 |
グラフ練習 |
グラフ要素のプロットエリア上で右クリックをし、ポップアップメニューを確認する。プロパティ画面で以下の編集する。編集項目は、グラフエリアの角を丸く、影付にする。 |
■ グラフの編集方法C:プロパティボックスの利用
グラフ要素の詳細な編集はダブルクリックをし、書式設定(プロパティ)ボックスから実施する。
@編集すべきグラフ要素を選択
Aダブルクリックでプロパティ画面を表示(Wordの図形編集と同じ)
Bプロパティボックスより編集項目を選択
□例題9-5:棒グラフの幅 |
難易度:★ |
目安時間:5分 |
グラフ練習 |
棒グラフの幅を広くし、影付きとする。
|
データ系列の[書式]を変更する。影付きのチェックボックスをクリック。[オプション]タブから[棒の間隔]を広げる。
|
■ 目盛と目盛線の編集
軸を選択した後、ダブルクリックすると[書式設定]プロパティが現れる。
グラフに適した編集を行う。メモリ補助線があると便利な場合がある。また目盛や表示形式の設定などは正確で美しいグラフを書くための重要な編集項目である。
今後、自分で作成した場合に困らないよう、自分で設定ボックスをチェックをしてどのように変わるかを確認することが望ましい。
□例題9-6:目盛の編集 |
難易度:★ |
目安時間:15分 |
グラフ練習 |
補助メモリの設定を内向きにする。グラフに補助目盛り線を入れ、破線にする。方眼紙のような用紙を作成する。 |
■ グラフの種類の変更
折れ線グラフのグラフウィザード(1/4)には、マーカーがある。
マーカーを選択し、ダブルクリックから編集可能である。マーカーには色やサイズ、影付などさまざまな編集ができる。
□例題9-7:グラフ種類の変更 |
難易度:★★ |
目安時間:20分 |
例題集 |
例題集の20点満点のテスト結果をExcelにコピーし、以下の作業を行う。
- 縦軸、横軸をExcelでは何と呼ぶか。
- 適当なタイトル、凡例を入力する。
- 折れ線グラフに変更する。
- 縦軸の目盛りは1点きざみに、最大値は20点に設定する。
|
これらのデータにおける実際の整理・編集方法はパソコン統計の学習内容。
|
■ 効率的なグラフの作成
同じ書式のグラフで編集項目が多いグラフを作成する場合にはコピーを使う。完成したグラフ(コピー元)をコピーし、複数作成した後、グラフウィザード2/4の[系列]でデータを新たに入れ替えたほうが効率的である。
□例題9-8:同じグラフの効率的作成 |
難易度:★★ |
目安時間:20分 |
例題集 |
大学生の生活調査「小遣い」のデータで、1〜4各学年別の回答分布を4つの円グラフで示す。なお、すべて同じ編集状態とする。 |
まず、1年生のデータを納得ゆくまで編集する。(元データの完成)次に、これを3つコピーし、グラフウィザード2/4でデータ系列を変更する。
|
■ その他の棒グラフ要素
グラフの種類ごとでグラフの要素は異なる。棒グラフでは以下の要素が利用できる。(GWのグラフオプション3/4から設定)
□例題9-9:縦棒グラフの作成 |
難易度:★★ |
目安時間:15分 |
例題集 |
大学生の生活調査「アルバイト」により、各学年別の回答分布を100%積み上げ縦棒グラフにする。グラフのタイトルは「学年別割合」とする。次のようなグラフに編集する。区分線をつけて、棒の間隔を狭くする。 |
【編集のポイント】グラフウィザードの2/4で、列と行を入れ替える。データ系列を編集し、区分線をチェックする。
|
■ シートの整理とブックの大きさ
編集シートのタブの上で右クリックをする、ポップアップメニューから[移動]または[コピー]するとシートの整理ができる。(シートの操作)
Excelファイルは大きくなりやすいので、不要なデータは削除するなど整理をしておくとよい。メニュー[ファイル(F)]→[プロパティ(P)]でファイルの情報を調査できる。
□例題9-10:シートの整理 |
難易度:★ |
目安時間:15分 |
全シート |
これまでに実習で利用したシートをいつでも提出できるよう一つのブックにまとめておく。添付ファイルとしてメールで担当者に提出する。また、自分が提出するExcelのファイルの大きさをメールの本文に記載する。
|
ファイルが大きな場合(1MB以上)には、圧縮(アーカイブ)する。圧縮にはzipやLHAなどの形式がある。
|
last modified :2007.01.05
|