■ TOPパソコン統計 > 第02回  NEXT

 ▼ 第02回  マクロ経済学の例題実習(1)

■ 経済データ

 現実の経済の動きを知るには、何よりもデータ(data)を見つめることが重要である。このデータには、経済の実態(母集団:population)に関するさまざまな情報が含まれている。これらをうまく抽出し、分析すれば現実の経済の構造を把握することができる。
 まず、データに関する知識をここで身につける。後に、データの分析方法とくに統計的手法について学ぶことにする。
 データの分類としては、以下のような分類ができる。
  • クロスセクションデータ (cross section)
  • 時系列データ(time series)
  1. 日次データ(daily)
  2. 週次データ(weekly)
  3. 月次データ(monthly)
  4. 四半期データ(quaterly)
  5. 年次データ(anual)
  6. 年度データ(fiscal year)
  • フロー(flow)
  • ストック(stock)
  • 離散型
  • 連続型
 □例題02-01:GDEグラフの作成 難易度:★ 目安時間:30分 例題集
 例題集の2つのGDEのデータを使ってグラフの作成の復習をする。どのような種類のグラフが適当かを考える。このデータは上の分類ではどのように分けられるかを確認する。
 グラフの描き方については、情報処理入門などのテキストやExcelの基礎を参照のこと。ノートパソコンでは、データの入力時にテンキーモードで入力すると効率的である。

■ 身近なデータ

  為替レートと(日経平均やTOPIX)株価は、ニュースや新聞で毎日報告される最も馴染みのあるデータである。また、株価では、NY市場のダウ工業株価、ロンドンのFT、香港のハンセン指数などもテレビで取り上げられる。
 自動車販売台数・百貨店の売上・住宅着工数・地価などさまざまなデータをもとに日本経済の状況を説明する場合がある。
 □例題02-02:データで見る日本経済 難易度:★★★ 目安時間:40分 ノート
 ニュースや新聞で毎日報じられている身近な経済データについて、これらを定期的に収集し図表でレポートにまとめる。1980年から2000年までの株と為替のデータをグラフ化し、日本経済の動きを知る。

■ マクロ経済データ

  日本経済や世界経済の動きを捉えようとすれば、マクロデータを蒐集する必要がある。今では、インターネットからデータを集めることで大変便利になった。NIKKEI NET の景気ウォッチにある統計データが掲載されているので、参考にしてほしい。
 □例題02-03:データ系列の蒐集 難易度:★★ 目安時間:10分 インターネット
 NIKKEI NETの統計データにあるデータ系列を各自1つ選択し、グラフで表現する。

■ オフィスソフトの利用

  オブジェクト(object)としてワープロ原稿に貼り付ける手順は、以下の通り。
  1. ExcelとWordを同時に起動させる。
  2. Excelをアクティブにする。
  3. Excelの図や表の範囲をコピーする。
  4. Wordをアクティブにする。
  5. 貼り付ける場所を指定して、[形式を選択して貼り付け(S)]の[図]を選ぶ。
 □例題02-04:グラフの貼り付け(復習) 難易度:★★ 目安時間:10分 データ
 例題02-03にて完成させたオリジナルのグラフをWordに貼り付ける。さらにデータ出所を記した後、このグラフからわかることを400字以上で述べる。プリントアウトして提出をする。


■ TOPパソコン統計 > 第03回  NEXT

 ▼ 第03回  マクロ経済学の例題実習(2)

■ 経済データの加工:成長率

 蒐集したデータを加工して、現実の経済構造の分析に役立てることができる。前年と比べてどれだけ変化しているかを知ることは重要である。ここでは、GNPのデータをもとに経済成長率を導き出したり、物価がどれだけ上昇したかというインフレ率を求め経済の動きを知る。

■ 変化率(成長率)

 変化率とは、基準の年(t)からみて何%変化したかを見るものさしである。以下のような式で計算できる。

変化率          (式3-1)

ここでd: 変化率, t : 基準時, x : データである。
 □例題03-01:変化率 難易度:★ 目安時間:10分 ノート
 式1の分子と分母は、以下の図のどの部分に相当するかを示す。

変化率のグラフ


 □例題03-02:成長率 難易度:★★ 目安時間:10分 例題集
 データのGDEの成長率を求め、成長率の変化をグラフで表す。
 縦軸は%表示で小数点1桁表示、最大値は10%とする。軸には補助目盛を内向きにつけておく。


■ 物価指数

 経済データを扱う場合に考慮しなければならないのは「データの実質化」である。30年前のコーヒーの一杯の価格と現在のコーヒーの価格では明らかに現在の方が高いが、価格をそのまま比較、すなわち、30年前の価格との単純比較で10倍としてよいだろうか?コーヒーが所得のうち何%ぐらいであるかを調査するとか、他の商品の物価上昇率を考慮した上で、コーヒーの実質的な物価上昇を考えなくてはならない。そこで物価指数(price index)を用いる。

■ 実質化:名目値と実質値

 物価を割り引いて考えないと昔の価格と単純に比べることはできない。そこで実質化を行い比較可能なデータを作成する。名目データを物価指数(Price Index)で割ったものが実質データであるから、
実質データ=名目データ÷物価指数
という計算で、求められる。実質GDPは、物価指数の代わりにGDPデフレータを使って計算をする。
 □例題03-03:2つのGDE(2) 難易度:★★ 目安時間:10分 例題集
 例題02-01で作成した2つのGDEのグラフを眺めて、名目GDEと実質GDEでは、どちらが大きな値をとるかを考える。また、2つの系列が交差するのはどのような場合か。

■ 基準時の設定

 比較の基準となる数値を1として、比較すべき数値を基準値に対する比率で表す。基準時の値よりも大きければ1以上、反対に下回れば1より小さい値になる。
 以下の5つの指標がある。詳細は、次年度の経済データ分析で行う(予定である)。
  1. 単純算術平均
  2. 単純幾何平均
  3. 基準時加重算術平均
  4. ラスパイレス指数(基準時生計費指数)
  5. パーシェ指数(比較時生計費指数)

last modified :2005.11.05