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 ▼ 第06回 簡単な計算とオートSUM

■ 四則演算

  Excelによる計算は、数値データ同様、必ず半角で記述しなくてはならない。(自動的に半角に変換されることがあるが、常に意識しておいた方がよい)
  • 足し算(加算) + プラス
  • 引き算(減算) − マイナス
  • かけ算(乗算) × アスタリスク(*)を利用
  • 割り算(除算) ÷ スラッシュ(/)を利用
×や÷は全角データしかないので、半角である*や/で代用する。累乗の計算には、^(ハット)を利用する。余りを計算するにはMOD関数を使うが、他の言語では%を利用する場合もある。
 □例題6-1:セルへの式の入力 難易度:★ 目安時間:5分 計算練習
  新しいシートを「計算練習」とし、セルに=5+4を入力する。どのような結果が表示されるか。
=(イコール)の入力は[Shift] + [ほ]キーで、それ以外はテンキーで入力する。

■ 計算式の入力と表現

  セル内に記述する計算式の前には、必ず、=(イコール)をつけなくてはならない。Lotus 123の場合は、@(アットマーク)である。 ^(ハット)の入力は [へ]キーで入力する。

計算の種類
計算の種類 計算例 Excelの入力表現 Excelの出力(答)
足し算(加算) 5+4= =5+4 9
引き算(減算) 9-2= =9-2 7
かけ算(乗算) 8×4= =8*4 32
割り算(除算) 8÷4= =8/4 2
括弧 3×(7-2)= =3*(7-2) 15
累乗 25= =2^5 32
答えが違っている場合、セルの表示形式(表現)を確認する。

 □例題6-2:計算式の表現 難易度:★★ 目安時間:10分 計算練習
  以下の計算式をExcelの入力データとして表現し、実際に計算する。
  1. 5×(17−9) =
  2. (10−4)÷3 =
  3. {(5−2)×8}−5 =
  4. {(25−8)×(15−2)}+{(45−22)×(19−3)} =
  5. 28×214 =
Excelの計算で中括弧{}や大括弧[]は利用できない。なお、Excelでは中括弧{}は配列として利用される。

■ 計算エラー

  480-51 では計算できない。この場合、=が抜けている。このように計算ルールから逸脱するとエラーが表示される。
 □例題6-3:計算のエラー 難易度:★ 目安時間:5分 計算練習
 480-51を入力して計算できないが、この場合、セルのどの位置に配置されているかを確認する。Excelはどのようなデータとして処理をしているか。

■ セル番地を利用した計算

  セルに直接、式や数値を入力するのではなく、セル番地を利用した計算が利用される。
 例えば、A1のセルに=A2+B5という入力をすると、セルA2とセルB5に入力されている数値データが足し合わせた結果がA1のセルに表示される。入力方法は、マウスで数式バーの=をクリックした後、計算に必要なセルをクリック(このとき対象としたセルの外枠が点滅)する。または、キーボードですべて入力する。
 また、セルA2とセルB5の値を変えるとその結果も更新される。
 文字列データは計算できないので、エラー表示となる。(但し、文字列操作関数は別)
 □例題6-4:セル番地での計算 難易度:★★ 目安時間:10分 例題集
  「大学生の生活調査」の行の合計、列の合計を四則演算を用いて計算する。4桁以上の数には桁区切りをする。

■ F2キーの利用:データ修正・編集

  セルに入力した式の確認方法として[F2]キーを押す。セル内の計算式が表示され、利用している(参照している)セル番地が色付き(青、緑、紫、茶、ライム・・・)で表示される。この参照先を見て、計算の間違い・エラーなどをチェックする。
 数式バーのなかでも、編集・修正ができる。
 □例題6-5:F2キーの利用 難易度:★ 目安時間:2分 例題集
  「大学生の生活調査」の行、列の合計したセルにおいてF2キーを押す。計算式にどのセルが利用されているかを確認する。

■ 計算式のコピー(相対セル参照)

  セル番地を利用した計算式をコピーすると、入力式にあるセル番地もコピーの法則にしたがって移動する。計算式も相対的に変化する(相対セル)。例えば、セルB1に計算式(=A1+A2)を入力し、これを縦方向にコピーをする。すると、B2の内容は、=A2+A3というように変化する。
 □例題6-6:割合の計算と式のコピー 難易度:★★ 目安時間:10分 例題集
  「大学生の生活調査」(アルバイト・小遣いのシート)の行、列の合計値を利用し、割合を計算する。計算式はコピーし各行・各列の計算をする。
割合の表示は、パーセントスタイル、小数第2位までとする。=学年の数/全学生数。コピーを実行するとエラーが表示される場合があるが、その原因は以下を参照

■ F4キーの利用:行と列の固定(絶対セル参照)

  相対セルのように式が変化しては困るようなケースがある。(特に、割合を求めるような場合)このような場合には絶対セルを用いる。セルを固定するために$(ドル)マークをつける。
 $マークは[Shift]キー+[F4]キーで入力できる。簡単な方法として、セルにある番地を選択して、[F4]キーを押すと固定される$マークが付く。
 例えば、=A1では、$A$1 → $A1 → A$1 → A1 となり、4回で元に戻る。
 □例題6-7:F4キーの利用 難易度:★ 目安時間:5分 練習シート
 [F4]キーを押し、セルの入力内容の変化を確認する。何回で元に戻るか?

■ 日付・時間の計算

  日付・時間の計算はシリアル値を利用している。日付は整数部で、時刻は小数部で計算される。1が1日(24時間)に相当するので、1時間は1/24である。1分は時間をさらに60で割った値になる。
 □例題6-8:生存日数の計算 難易度:★ 目安時間:5分 計算練習
  今日まで生きてきた日数(生存日数)を計算する。
=今日の日付−誕生日+1 という計算をする。計算結果のセル表示を日付から標準に変更する。または、書式設定バーの桁区切りボタンを押す。生存日数は引き算をした結果に1日足さなくてはならない。(カレンダーで確認)

 □例題6-9:1分・1秒のシリアル値 難易度:★★ 目安時間:10分 練習シート
  1分、1秒のシリアル値を計算する。

 □例題6-10:勤務時間表の計算 難易度:★★★ 目安時間:25分 例題集
 勤務時間表から労働時間を計算する。また、時給800円であるとき、日給および月給を計算する。出社、退社の片方のデータしか入力されていない場合には、############というエラー表示となる。
労働時間の列には計算式を入力し、コピーする。退社時間を変えると労働時間が再計算できているかを確認する。



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 ▼ 第07回 関数の利用(エラーの原因、絶対セル)

■ 関数の意味

  関数とは、英語ではファンクション(機能,function)であり、昔は函数と書いた。箱(函)はブラックボックスで、この箱へものを入れる(入力, input)とある法則にしたがって加工されたものが出てくる(出力, output)。
 入力は通常、xで表現する。これはいくつでも構わないが、出力される値yは一つでなければならない。
y = f( x1, x2, x3, ・・・)
イメージとしては料理を考える。いくつもの食材や調味料を入れて(入力)、ひとつの料理(出力)を作り上げる。

■ 関数名と表現法

  Excelでは、結果を出力するセルに= f( 入力 )と記述する。ここで、fは関数名である。
 関数名は、英語の略字が利用されるので、関数の正式英語名を覚えておくのが良い。以下は関数名のサンプル。
  • average : 平均
  • max : 最大
  • rand : 乱数
  • now : 現在の日付と時刻
  • today : 本日の日付
 関数の表記方法は、計算式と同様に=で始める。関数名を表記した後()を付ける。括弧内は入力値となる。
 □例題7-1:関数 難易度:★ 目安時間:3分 ノート
  Excelで関数を記述するときに、必ずなければならないものはどれか。3つ挙げる。
()を付け忘れると#NAME?というエラー表示になる。=を付け忘れると文字列データになる。

■ 引数

  入力する数を引数(ひきかず)といい、Excelでは括弧()内に入力する。通常は、入力xとしてこれらが必要となる。
 ただし、以下は引数を必要としない関数である。()内には何も入っていないが、付け忘れると計算できない。
  • =rand()
  • =now()
  • =today()
  • =pi()
 □例題7-2:関数の計算 難易度:★ 目安時間:5分 練習シート
  上の関数の意味を調べ、セルに入力し、出力された値(答え)を確認する。どうして引数が不要であるかを考える。入力するごとに値が変わる(再計算)するものはどれか。セルに色を付ける。また、=pi()は小数何桁まで表示可能かを調べる。

■ データの範囲指定

  連続した(隣同士にある)セルを指定するには、セル番地:セル番地 というように記述する。:(コロン)で始点のセル番地と終点のセル番地を分ける。
 範囲の指定方法は3通りある。@マウスでドラッグして範囲選択する、Aキーボードで範囲指定をするには、[Shift] + 矢印キー で行う。B直接、キーボードから番地を入力しても良い。
 □例題7-3:データ範囲指定 難易度:★ 目安時間:5分 ノート
  セルA1からD8を範囲指定(反転させる)し、アクティブにする。マウス、キーボードそれぞれで行う。

■ オートSUM関数 

  入力された値の合計を計算する関数は、オートSUM関数(英語ではsummationである)である。最もよく利用されるので、関数がボタンとなっている。この計算方法は、=sum(セル範囲)である。
 □例題7-4:オートSUM 難易度:★ 目安時間:10分 計算練習
  1から100までの合計をExcelを利用して計算せよ。また、1から1000までの合計をExcelを利用して計算せよ。
オートフィルでA1からA100までに連続した値を作成する。また、一番下のセルに移動するには[Ctrl]+[Shift]+[↓]を利用すること。

 □例題7-5:表の計算 難易度:★★ 目安時間:5分 例題集
  大学生活調査のデータにおいて、四則演算の計算からオートSUM関数に変更する。各列・行の合計を計算をする。

■ 関数ウィザード 

  関数ウィザード(wizard)を利用すれば、マウスで引数のセルを指定することで計算ができることが多い。また、関数利用のヒントが表示されるので便利である。
 関数貼り付けボタンのfxボタンをクリックすると以下のような関数貼り付けダイアログボックスが現れる。


このダイアログボックスには、簡単な説明がついている。
 □例題7-6:等差数列の和 難易度:★★ 目安時間:10分 計算練習
  高校で学習した等差数列の和を求める。初項aが2、公差(d)が3であるとき、第22項までの和Sを求めよ。また、初項aの値と公差dの値を変化させてみる。
初項(第1項)から第22項までをオートフィルや計算式で作成し、合計する。

■ 関数の種類・分類

  Excelに用意されている関数は329にのぼる。機能別に分類されているので、どのような関数があるかチェックする。
  • 数学/三角
  • 統計
  • 日付/時刻
  • 財務
  • 文字列操作
  • データベース
  • 論理  など
 □例題7-7:標準関数を利用した計算 難易度:★★ 目安時間:10分 計算練習
 数学関数や統計関数を利用し、次の階乗の計算(順列・組み合わせ)をする。
  1. 5!
  2. 8P3
  3. 6C2
5!=5×4×3×2×1というような階乗の計算には、FACT関数を利用する。順列にはPERMUT()、組み合わせにはCOMBIN()を利用する。

■ エラー表示とその原因

  セルに#(シャープ)が表示されるものはエラー(error)である。以下の表では、主なエラー表現とその原因をまとめてある。

エラー値の種類
エラーの表現 エラーの一因 備考
####### セル幅が狭すぎる。 数値データが表現できない
#NAME? 関数名を間違えた。 名前は?と問われている
#DIV/0! 割り算式の連続コピー divid(割る) /0 は計算不能
#NULL! 存在しないセルの参照 Nullとは、何もないの意味
#NUM! 計算結果が処理範囲を逸脱 ルートの中がマイナスなど
#REF! 数式で参照ミス reference(参照)
#VALUE! 数値データのはずが文字列であった 値がおかしい!と警告された
#N/A! 関数の引数指定ミス Not Avaiable(利用不可)

 □例題7-8:エラーの原因 難易度:★★ 目安時間:5分 計算練習
  以下のデータをセルに入力するとエラー表示がでる。その表示を確認し、原因を考える。また、正しい記述にはどのように修正すればよいか?
  1. =TODAY
  2. =5/0
  3. =ABERAGE(5,4,3)

■ データ処理の基礎

  Excel統計関数を利用すれば、簡単にデータを計算・整理できる。これらの関数の多くは、統計に分類されている。
  • データ個数 : count関数,countblank関数
  • 最大値 : =max(範囲)
  • 最小値 : =min(範囲)
  • 平均 : =average(範囲)
  • ○番目に大きな数 : =large(範囲,順位)
  • ○番目に小さな数 : =small(範囲,順位)     など
 □例題7-9:虫食いデータによる演習 難易度:★★ 目安時間:20分 例題集
  DATA 101 〜 DATA 110 の各表で以下の処理をする。
  1. 表の各列・行の以下の値を求める。
    • 最大値
    • 最小値
    • 平均
  2. DATA 101 〜 DATA 110 の各表で以下を求める。
    • 全データ数
    • 空欄数
    • 80番目に小さな数
    • 50番目に大きな数
効率的な作業にはコピーを利用する。(形式を選択して貼り付けや行列の入れ替え)
間違いがないかをチェックすることが必要:F2キーを利用する。)
すべてのシートで一度に作業するには、串刺し演算を利用するとよい。

■ ワークシートの作成

  関数を入力しておけば、元になる数値を変えるだけで再計算を自動的に行う。このようなシートを用いれば、シミュレーション(simulation)などができる。
 利用されているセルのデータが変われば、グラフも同様に自動的に変更される。
 □例題7-10:順位表の作成 難易度:★★ 目安時間:10分 例題集
 LARGE関数やRANK関数を利用し、順位表を作成する。
順位と値の列を作成する。計算式のコピーのためにセルを$で固定。

 □例題7-11:消費支出項目の計算 難易度:★★ 目安時間:15分 例題集
  例題の表にある消費の内訳(項目)で?となっているセルの値を計算する。最も裕福な階層の支出割合はどのようになっているかを考える。(ヒント:エンゲル係数)
行と列がどのように構成されているかを考える。


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last modified :2007.01.05